鉄絵(読み)テツエ

デジタル大辞泉 「鉄絵」の意味・読み・例文・類語

てつ‐え〔‐ヱ〕【鉄絵】

酸化鉄を含む絵の具またはうわぐすり絵付けをした陶磁器。絵付けの部分黒褐色赤褐色などを呈する。鉄砂てっしゃ

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精選版 日本国語大辞典 「鉄絵」の意味・読み・例文・類語

てつ‐え‥ヱ【鉄絵】

  1. 〘 名詞 〙 鉄分を含む絵の具を用いた陶磁器の絵付け。焼成により褐色、黒褐色、黒色などになる。
    1. [初出の実例]「宋の柿天目や鉄絵、青磁の劃花文碗など」(出典:蝶の皿(1969)〈秦恒平〉)

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百科事典マイペディア 「鉄絵」の意味・わかりやすい解説

鉄絵【てつえ】

やきものの素地に,鉄を含有する顔料〈鉄絵具〉で,釉下に絵文様を描く技法。またはその作品。鉄絵は黒〜茶褐色に呈色する。(うわぐすり)は透明釉であるのが一般的だが,青磁釉,色釉が施される場合もある。世界中で広く行われる技法。中国陶磁では晩唐時代に現れ,宋〜金時代の磁州窯吉州窯で発達。朝鮮陶磁では,忠清南道鶏竜山(けいりゅうさん)周辺諸窯の白地鉄絵,広州官窯での白磁鉄絵〈鉄砂(てっしゃ)〉が知られ,日本では,尾形乾山作陶志野焼織部陶唐津焼などにおいて主要な装飾法の一つとなっている。
→関連項目粉青沙器

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世界大百科事典(旧版)内の鉄絵の言及

【李朝美術】より

…染付は17世紀後半期のものはいまだ明らかでないが,おそらく18世紀前半にかけて李朝染付の精華ともいうべき秋草手に続き,繊細な筆づかいを見せる窓絵(まどえ)のある優れた作行のものが製作されたものと推測される。鉄絵のある白磁は雲竜文,梅竹文,葡萄文など,図画署の画員が絵付をしたと思われる作品が見られるが,後期には衰退してしまう。 後期は広州官窯の分院が1752年に牛川江(ぎゆうせんこう)と漢江の合流点に移って官窯の中心になり,また民窯の磁器窯が全国に広がった時代である。…

※「鉄絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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