鉱物相(読み)コウブツソウ

化学辞典 第2版 「鉱物相」の解説

鉱物相
コウブツソウ
mineral facies

一般に,変成岩化学組成鉱物組成を調べて変成作用の物理的条件を知り,これを経験的に分類することが可能で,これをP. Eskolaの鉱物相の原理(principle of mineral facies)という.Eskolaは,一群の変成岩の化学組成と鉱物組成との間に一定の関係があるのは,その岩石群温度圧力の一定の範囲でできたためと考え,その一定の関係で特徴づけられるような温度と圧力の一定の範囲を,一つの変成相とよんだ.これと同じような考え方は,火成岩の化学組成と鉱物組成との関係に対しても適用でき,火成相と定義される.変成相と火成相を合わせて鉱物相という.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉱物相」の意味・わかりやすい解説

鉱物相
こうぶつそう
mineral facies

ある範囲に限られた鉱物の組合せの意味。火成岩や変成岩の鉱物組合せは化学組織と生成時の温度・圧力条件に支配される。ある温度,圧力の範囲で生成された鉱物組織を相という。火成岩,変成岩のそれぞれの相に特定岩石名をつけて相区分が行われ,火成相,変成相を一括して鉱物相という。異なった地域の岩石でも鉱物相が同じであれば,その生成時の物理的条件が等しいと考えて,鉱物相を岩石の生成条件による分類の基礎にする。 1920年以後,変成岩研究の基本理念になっている。

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岩石学辞典 「鉱物相」の解説

鉱物相

変成岩の組合せから発見された相の原理を拡張した,あらゆる起源のもので,類似した物理条件下で化学平衡に達した岩石を含む相.このように特定の鉱物相に属する岩石は,伴われる鉱物が熔融体から直接結晶化したものか変成作用の過程によるものかは重要でない.エスコラは,このような考えから変成相と火成相とを合わせて鉱物相とよんだ[Eskola : 1915].その後変成相は発展したが[Eskola : 1915, 1920, 1922, 1939],火成相は現在は用いられていない.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

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