鍬下年季(読み)クワシタネンキ

デジタル大辞泉 「鍬下年季」の意味・読み・例文・類語

くわした‐ねんき〔くはした‐〕【×鍬下年季/×鍬下年期】

江戸時代、開墾中の土地一定期間租税免除したり軽減したりしたこと。
明治地租改正後、原地価または国が定めた地価に基づいて地租を徴収する一定の期間のこと。

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百科事典マイペディア 「鍬下年季」の意味・わかりやすい解説

鍬下年季【くわしたねんき】

江戸時代,新田開発の地に対して一定の期間,年貢諸役を免じることをいう。新田開発の奨励策という性格をもつこうした慣行は,すでに1551年武蔵国足立郡の北条氏領内でみられるが,この間領主検地を行わず,開発者の作り取りとなる。この年季幕府領では3年・5年・7年などさまざまで,大名領内では10年,20年に及ぶ場合もあった。年季が明けると検地が施行され,石高を付され,年貢が定められた。
→関連項目新田

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改訂新版 世界大百科事典 「鍬下年季」の意味・わかりやすい解説

鍬下年季 (くわしたねんき)

江戸時代の年貢用語。新田畑を開発し,耕地化する期間を鍬下といい,開発から一定期間年貢諸役を免除することを鍬下年季という。古くは戦国時代に〈10年荒野とすべし〉としてこの期間年貢諸役を免除しているが,江戸時代から鍬下年季といわれるようになった。年季は3年,5年,7年等々領主によってさまざまである。年季明けに検地を実施して石高を定め,年貢対象地となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鍬下年季」の意味・わかりやすい解説

鍬下年季
くわしたねんき

江戸時代、新田開発奨励のため、その土地に課せられる租税を一定期間、免除または軽減すること、またはその期間をいう。鍬下とはその土地がまだ開墾中であることを意味することばである。年季が明けると検地が行われ、正式に村高に繰り入れられた。

吉永 昭]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「鍬下年季」の解説

鍬下年季
くわしたねんき

新田開発をしてから一定期間は年貢・諸役を賦課せずに,開発者の作取とすること。戦国期からみえ,天正15年(1587)2月20日付の徳川家康の定書第2条にも「新開作の田畠等開発次第弐ケ年の間年貢赦免せしめ」とある。年限は開発の難易度などにより決定された。3~5年が多いが,なかには10年,20年というものもあった。

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