長者屋敷跡(読み)ちようじややしきあと

日本歴史地名大系 「長者屋敷跡」の解説

長者屋敷跡
ちようじややしきあと

[現在地名]水戸市渡里町

上市うわいち台地の北西隅の崖上にある城跡。「新編常陸国誌」の台渡だいわたり村の項に「村ノ北那珂川ニ臨ミテ長者山アリ、之ヲ長者屋敷ト云フ」とみえる。現在は土塁と空堀が残り、杉・雑木の混じる木立灌木の広がるなかに畑・宅地が点在する。東側・北側とも比高二〇メートルの急崖、崖下は那珂川・田野たの川流域の低地で、要害性に富む地形が築城に際し利用されたことは明らかである。

一般に長者屋敷の跡は、古代から中世初期にかけての富豪の屋敷や駅舎などの跡で比較的単純な構成だが、当村の長者山の遺構は二つの直線的連郭式城郭からなり、かなり複雑である。この遺構は古代末期・中世初期の豪族の館と、中世後期から近世前期の城の両方の特色を併せもち、古代から近世初期の約五〇〇年にわたり各時代の城主により改造利用されたと推定される(水戸市史)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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