防災公園(読み)ぼうさいこうえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「防災公園」の意味・わかりやすい解説

防災公園
ぼうさいこうえん

大都市を中心に地域の防災構造を強化するために整備され、非常時防災拠点、避難地、避難路としての役割をもつ都市公園や緩衝緑地人口が多く、建物の密集する都市部において、地震災害および地震に起因する火災などの二次災害に対する備えとしては、地域の避難場所や防災活動拠点の整備だけでは十分でない。都市の総合的な不燃化や耐震化を強化するとともに、防災公園をはじめとする防災関連施設、学校教育施設、道路、河川などが防災拠点、避難地・避難路としての役割を分担しつつ、非常時にそれらが連携して運用されるように準備されている必要がある。かりに大震災が発生した場合、被災直後の混乱状態や、人の生命維持のための水・食糧などの物資が極端に不足した状態から回復するまで、およそ3日間はかかるとされている。防災公園は、その間の避難者の生活を補助するさまざまな機能を有する場所であり、災害時にスムーズに利用されるためにも、平常時は広大なオープンスペースや緑地を生かし、高齢者や乳幼児、子供、障害者など、幅広い人たちに親しまれる公園として整備された施設であることが望まれる。

 防災公園には以下のような種類と役割がある。(1)広域防災拠点 広域公園などに分類され、災害発生時は救護救援活動、復旧や復興活動を行うための拠点となる都市公園。(2)地域防災拠点 都市基幹公園などに分類され、救護救援活動の前線基地や救援物資輸送の中継基地となる都市公園。(3)広域避難地 広域公園や都市基幹公園などに分類され、主として周辺地域からの避難者を収容。大火災が発生した場合には避難者の生命を保護する場所となる都市公園。(4)一次避難地 近隣公園や地区公園などに分類され、近隣住民の緊急避難の場、広域避難地に避難するための中継地などとなる都市公園。(5)避難路 緑道などに分類され、広域避難地やこれに準じた安全な場所へ通ずる避難路となる緑道。(6)緩衝緑地 緩衝緑地として分類され、地震などが発生した場合、主として石油コンビナートなどの施設で発生しうる災害から隣接する市街地を守るために設置されている緑地。また、このほかに身近な防災活動拠点の機能を有する都市公園として、街区公園に分類される都市公園がある。

 防災公園はそれぞれの役割に応じて、備蓄倉庫や耐震性貯水槽をはじめ、非常時にかまどとしても使えるベンチや水を手動でくみ上げられる揚水ポンプなどが設置されている。このような機能を有した広場や緑地、緑道などが、相互につながりあい、災害時に全体が連携した、広域防災ネットワークの形成を目ざしている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android