阿仁鉱(読み)あにこう(その他表記)anilite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿仁鉱」の意味・わかりやすい解説

阿仁鉱
あにこう
anilite

硫化鉱物の一つ。1969年(昭和44)森本信男(1925―2010)、小藤吉郎(ことうきちろう)(1936― )、島崎吉彦(1929― )によって、秋田県北秋田郡阿仁町(現、北秋田市阿仁)阿仁鉱山閉山)から記載された新鉱物。その後ドイツ、ポーランドチリカナダなどから発見されている。組成変化はほとんどない。少量でも鉄が存在すると、本鉱のかわりに方輝銅鉱が生成される。肉眼ではほかの硫化銅鉱物と識別しがたく、決定はX線的方法による。発見以前は輝銅鉱などと混同されていた。名称原産地にちなむ。

加藤 昭 2015年12月14日]


阿仁鉱(データノート)
あにこうでーたのーと

阿仁鉱
 英名    anilite
 化学式   Cu7S4
 少量成分  無
 結晶系   斜方直方
 硬度    3
 比重    5.68
 色     青灰
 光沢    金属
 条痕    黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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