阿部正外(読み)あべ・まさと

朝日日本歴史人物事典 「阿部正外」の解説

阿部正外

没年:明治20.4.20(1887)
生年:文政11.1.1(1828.2.15)
幕末老中幕臣阿部正蔵の次男に生まれる。禁裏付,神奈川奉行,外国奉行を経て町奉行。元治1(1864)年3月,宗家阿部正耆養子に入り白河10万石の藩主となり,同年6月老中に就任,幕府内強硬派を代表した。慶応1(1865)年2月,本荘宗秀と幕兵3000を率いて上洛,朝廷への管理強化を図ったが失敗。同年9月,英仏米蘭の外交団の要求を受け,兵庫の早期開港を幕議として決定,これを不満とした朝廷によって,官位剥奪,老中罷免,国許謹慎を命じられた。翌2年6月,幕命により城を棚倉に移され,藩主の座を子の正静に譲って蟄居。戊辰戦争では奥羽越列藩同盟に参加した。

(井上勲)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿部正外」の解説

阿部正外 あべ-まさと

1828-1887 幕末の大名
文政11年1月1日生まれ。阿部正定の弟。禁裏付として和宮(かずのみや)降嫁に関与,神奈川奉行,外国奉行などをつとめる。阿部正耆(まさひさ)の養子となり,元治(げんじ)元年陸奥(むつ)白河藩(福島県)藩主阿部家7代。同年老中となる。朝廷の意に反して兵庫開港を主張し老中を解任され,慶応2年蟄居(ちっきょ)となった。明治20年4月20日死去。60歳。通称は兵庫。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿部正外」の意味・わかりやすい解説

阿部正外
あべのまさと

[生]文政11(1828).1.1. 江戸
[没]1887.4.20. 東京
幕末の老中。幕臣としてペリー来航後,神奈川奉行,外国奉行を歴任。元治1 (1864) 年3月,宗家磐城白河藩 10万石の藩主に迎えられ,同年,老中となり,慶応1 (65) 年には,兵庫開港に反対し辞職。のち棚倉藩に移封され,戊辰戦争では官軍に抗して奥羽越列藩同盟に走った。

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367日誕生日大事典 「阿部正外」の解説

阿部正外 (あべまさと)

生年月日:1828年1月1日
江戸時代末期;明治時代の大名
1887年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の阿部正外の言及

【松前崇広】より

…63年(文久3)4月幕府の寺社奉行となり,まもなく免ぜられたが,64年(元治1)7月老中格,海陸軍総奉行(65年海陸軍総裁)となり,11月老中に任ぜられた。以後幕権拡張論者の老中首座阿部正外と行動をともにし,65年(慶応1)兵庫開港問題で阿部とともに勅旨によって罷免された。翌年帰藩し,松前で病没した。…

※「阿部正外」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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