日本大百科全書(ニッポニカ) 「陽泉」の意味・わかりやすい解説
陽泉
ようせん / ヤンチュワン
中国、山西(さんせい)省東部の地級市。3市轄区と、平定(へいてい)、盂(う)両県を管轄下に置く(2016年時点)。人口139万8000(2015)。元来平定県の地であったが、石家荘(せきかそう)と太原(たいげん)を結ぶ石太線が開通してから駅の置かれた陽泉鎮が発展し、1947年同鎮を中心に市が設けられた。この地域は海河(かいが)の上流である冶河(やが)の水系に属する。地勢的には、分水嶺(ぶんすいれい)を隔てる山西省の主要部太原盆地と、娘子関(じょうしかん)がある井陘(せいけい)の峡谷を経て通じる河北(かほく)平野との中間に位置し、河北省北西部から山西省北東部に動乱があるときには「兵家必争の地」になった。旧平定は漢代に上艾(じょうがい)県が置かれ、南北朝期に石艾県、唐代に広陽県、宋(そう)代に平定県と改められた。
石太線のほかに朔黄(さくこう)線(神池(しんち)―黄驊(こうか))や陽渉線(陽泉―渉(しょう)県)、陽盂線(陽泉―盂県)が通る。周辺では石炭、ボーキサイト、硫黄(いおう)、鉄鉱、石灰岩などの鉱物資源を豊富に産出する。陽泉に鉄鋼、機械などの重工業が発達するほか、平定には陶磁器工業がある。
[秋山元秀・編集部 2017年10月19日]