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障害者スポーツ しょうがいしゃスポーツ

百科事典マイペディアの解説

障害者スポーツ【しょうがいしゃスポーツ】

心身に障害をもつ人びとのスポーツ障害者スポーツは,今日では,目標や課題の異なる3つのレベルで行われる。第1に,治療の手段として実施され,法律で認められた治療法として確立されているもの,第2に,多くの障害者に一般スポーツや余暇スポーツとして提供されているもの,第3に,パラリンピックなど競技スポーツとして行われているものである。
→関連項目ボストン・マラソン

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デジタル大辞泉の解説

しょうがいしゃ‐スポーツ〔シヤウガイシヤ‐〕【障害者スポーツ】

身体機能や知的発育などに障害をもつ人が行うスポーツ。種目には既存のスポーツのルールを改めたもののほか、ゴールボールボッチャなど独自に考案されたものもある。パラスポーツ。→パラリンピック

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうがいしゃスポーツ【障害者スポーツ】

心身に障害をもつ人々に身体的・精神的・社会的リハビリテーションの機会を与え,障害者の社会的再統合あるいは統合をはかるためのスポーツで,障害者のスポーツ,障害者によるスポーツ,障害者のためのスポーツなどと言われることもあるが,障害者のかかわるすべてのスポーツを意味するものである。言い換えれば,それは,障害者のかかわる運動遊びから運動競技まで,スポーツ振興法(1961)でいうところの身体運動から運動競技までを含むものであり,英語ではdisability sportと表記されるものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

障害者スポーツ
しょうがいしゃすぽーつ

障害のある人が主体となって行うスポーツ。教育や福祉、リハビリテーションや楽しみのためなどさまざまな目的で行われている。
 障害のある人が行うからといって特別なスポーツということではない。スポーツを行う人の特徴から子供のスポーツ、女性スポーツ、高齢者スポーツというように分類したときに、障害のある人が行うスポーツを障害者スポーツとよぶことがある。しかしながら、視覚障害者の自転車競技のパイロット(2人乗り自転車の前に乗る人で晴眼者であることが多い)や車椅子(いす)ダンスのスタンディングパートナー(車椅子使用者と組む障害のないパートナー)などのように、障害のない人がいっしょにスポーツを行う場合もあることから、厳密には障害者だけが参加するスポーツとはいえない。
 類義語にアダプテッドスポーツadapted sports、パラスポーツpara-sports、ディサビリティスポーツdisability sports、バリアフリースポーツbarrier free sports、ユニバーサルスポーツuniversal sportsなどがある。
 これらのうち、アダプテッドスポーツとは、スポーツを行う人の身体状況や発達段階に応じて既存のスポーツのルールや用具、技術などを修正・変更して実施されるものをいう。女性がバレーボールをするとき、男性よりも低いネットを使ったり、子供がスポーツを行うとき大人より小さなコートやボールを使ったりするが、これと同様に障害のある人がスポーツをするときには、障害に配慮した形でスポーツを行う。たとえば、車椅子テニスではツーバウンドのボールまで打ち返してよいし、視覚障害のある人の柔道では対戦する2人が組み合った状態から試合が始まる。ただし、障害者が既存のルール等を修正してスポーツを行うとき、その修正は最小限にとどめることが求められる。
 なお、パラリンピックが「もう一つのオリンピック」という意味でもあることから、障害者が行うスポーツ全般をパラスポーツとよぶことがある。パラ陸上競技やパラバドミントンなども同様である。バリアフリースポーツやユニバーサルスポーツは、障害の有無に関係なく参加するスポーツをさすことが多い。勝敗のあるゲームの場合、障害のある人にも障害のない人と同様に勝つチャンスがなくてはならない。
 障害者が行ったスポーツとして、1880年ロンドンにおいて、両腕に杖(つえ)を持った片足切断者2人がビクトリア女王の前で競走したという記録があるが、多くの国で障害者が統一されたルールのもとでスポーツを行うようになったのは20世紀になってからである。世界で初めての障害者のスポーツ組織は1888年にドイツで設立された聴覚障害者のスポーツクラブとされている。1910年にこのクラブはドイツ聴覚障害者スポーツ協会となった。また、1928年にはドイツに視覚障害者のスポーツ団体が設立されている。イギリスでは1922年に肢体不自由者のための身体障害者自動車クラブが設立され、1932年には片腕のゴルファー協会が設立されている。世界で初めての国際的な障害者スポーツ組織は1924年にパリに設立された国際ろう者スポーツ委員会(ICSD:International Committee of Sports for the Deaf)であり、同年に初の国際障害者スポーツ大会を開催した。
 第二次世界大戦前にも、このように障害者スポーツの組織的展開は散見されるが、その世界的発展は大戦以降となる。戦争で負傷した多くの人々のリハビリテーションやレクリエーションとしてスポーツがとり入れられ、その後、競技スポーツとして発展した。
 第二次世界大戦後、1950年代初頭にはフランス、オーストリアなどヨーロッパ各地で身体障害者のスポーツ協会が設立された。その後、国際的スポーツ交流が促進され、障害別の国際的なスポーツ団体が設立された。そのなかで最初に発足したのが、国際ストーク・マンデビル競技連盟(ISMGF:International Stoke Mandeville Games Federation)である。対麻痺(ついまひ)者(脊髄(せきずい)損傷などにより両脚が麻痺している人)で車椅子を利用する人のスポーツ団体として1952年にイギリスのエールズベリーAylesburyに発足し、第1回国際ストーク・マンデビル大会を開催した。以降、毎年開催され、1960年にはその年のオリンピックの開催地でもあったローマで第9回大会を開いた。1989年国際パラリンピック委員会設立後、このローマの大会を第1回パラリンピック大会と認定した。また、初めての冬季パラリンピック大会は1976年にスウェーデンで開催された。
 アジア地区では1974年に中村裕(ゆたか)(1927―1984)らの尽力により極東・南太平洋身体障害者競技連盟(FESPIC(フェスピック):Far East and South Pacific Games Federation for the Disabled)が組織され、翌1975年には大分県で第1回FESPIC大会を開催した。その後FESPICは9回大会(2006年、クアラルンプール)まで開かれた後に解散し、パラリンピックのアジア地区組織、アジアパラリンピック委員会として再出発した。
 国内では視覚障害者と聴覚障害者のスポーツについては明治、大正期から当時の盲学校や聾(ろう)学校等の体育として行われていた。そのなかから、サウンドテーブルテニスやグランドソフトボール(いずれも視覚障害者用のスポーツ)といった障害に応じたスポーツが生まれた。それを課外体育や部活動でも行うなかで、校内大会や地区大会が開催されるようになり、全国大会へとつながっていった。しかし、視覚障害スポーツに関しては、児童・生徒数の減少やルールの複雑さなどから大会運営が困難となり、結局、全国大会は中止となったが、同じころ開催されるようになった全国身体障害者スポーツ大会のなかで同様の競技がふたたび実施されるようになる。聴覚障害スポーツは学校関連の競技団体とともに聾者自身によるスポーツ組織がつくられ、聴覚障害の選手の受け皿となり、今日に至っている。しかし、肢体不自由児は学校では運動やスポーツが免除される対象であり、また、聴覚障害や視覚障害と比べて障害が多様で、運動制限が大きいこともあり、学校体育から競技スポーツへの展開はみられなかった。肢体不自由者を対象としたスポーツが全国で実施されるようになるのは、1964年(昭和39)に開催された第2回夏季パラリンピック東京大会(当時の正式名は国際身体障害者スポーツ大会)の運営委員会の財産を引き継ぎ、1965年に財団法人日本身体障害者スポーツ協会が設立されて以降である。
 日本身体障害者スポーツ協会はその後、全国身体障害者スポーツ大会(現、全国障害者スポーツ大会)のほか、各種障害者スポーツ大会の主催や、障害者スポーツ指導者の養成など、日本の障害者スポーツ発展の中心組織となった。1992年(平成4)には全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック)が開催されるようになった。2001年(平成13)にはこの大会と全国身体障害者スポーツ大会が統合され、現在の全国障害者スポーツ大会となった。
 2011年に施行されたスポーツ基本法のなかでは、障害者のスポーツの振興についても言及された。また、2014年には従来、厚生労働省の管轄であった障害者のスポーツが、リハビリテーションなど一部を除き文部科学省の管轄となり、翌2015年10月以降はスポーツ庁が所管している。これにより、それまで障害者福祉施策の一環として推進されてきた障害者スポーツは、国のスポーツ施策の一環として振興、展開されることになった。[藤田紀昭]
『中川一彦著『身体障害者とスポーツ』(1976・日本体育社) ▽総理府内閣総理大臣官房内政審議室編『平成9年版 障害者白書』(1997・大蔵省印刷局) ▽日本体育学会監修『最新スポーツ科学事典』(2006・平凡社) ▽藤田紀昭著『障害者スポーツの環境と可能性』(2013・創文企画) ▽森川洋・金子元彦・和秀俊編著『障害者スポーツ論』(2014・大学図書出版) ▽高橋明著『障害者とスポーツ』(岩波新書)』

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