隠し砦の三悪人(読み)かくしとりでのさんあくにん

改訂新版 世界大百科事典 「隠し砦の三悪人」の意味・わかりやすい解説

隠し砦の三悪人 (かくしとりでのさんあくにん)

日本映画。1958年製作の黒沢明監督の初のシネマスコープ作品。戦国時代,男に変装した姫君(上原美佐)を護衛して,忠臣武将三船敏郎)が,金に目のくらんだ愚かな2人の百姓千秋実藤原釜足)をうまく味方につけて,少数のゲリラ部隊のように敵中突破するという,日本映画には稀有(けう)なスケールの大きい骨太の大活劇。〈三悪人〉は,黒沢明の敬愛するジョン・フォード監督のサイレント時代の西部劇の名作の一本《三悪人》を想起させるし,〈敵中突破〉のテーマは,黒沢明がそれ以前に書いていたシナリオ《敵中横断三百里》(1957年,森一生監督によって映画化された)につながる。冒頭の百姓2人組の喧嘩道中は,ジョージ・ルーカス監督《スター・ウォーズ》(1977)の2人組のロボット,R2-D2とC-3POのコンビを生みだす原点になった。また,ジョン・ミリアス監督の《風とライオン》(1975)では,三船敏郎が馬にまたがって刀を抜き,疾走しながら敵の鎧武者3人を追って斬るシーンをショーン・コネリーが模倣してみせた。
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デジタル大辞泉プラス 「隠し砦の三悪人」の解説

隠し砦の三悪人

1958年公開の日本映画。監督・脚本黒澤明、脚本:菊島隆三ほか。出演:千秋実、藤原釜足、三船敏郎、藤田進、上原美佐ほか。戦国時代を舞台とするアクション映画。第9回ブルーリボン賞作品賞受賞。

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