日本大百科全書(ニッポニカ) 「雅安」の意味・わかりやすい解説
雅安
があん / ヤーアン
中国、四川(しせん)省中西部の地級市。省都成都(せいと)の南西約125キロメートル、揚子江(ようすこう)水系岷江(びんこう)の支流青衣江(せいいこう)上流に位置する。2市轄区、石棉(せきめん)など6県を管轄する(2016年時点)。人口157万2000(2014)。かつての西康(せいこう)省(1939~1955)の省都であった。
四川盆地の西端にあり、ここから西へはチベット、南へは雲南(うんなん)地方への自動車道が延びる交通要地で、農産物などの物資集散が盛んである。付近の蒙山(もうざん)に産する「蒙頂黄芽(モンティンホワンヤー)」などの茶の産地でもあり、これらはれんが状の磚茶(たんちゃ)にしてチベットや西北地方に供給される。また、ダイオウ、オウレンなどの薬草の産地および集散地でもある。発電所のほか、皮革、食品などの工場があり、さらに、付近には硫黄(いおう)、銅、雲母(うんも)、石綿などの地下資源もみられる。
ジャイアントパンダの生息地としても知られ、2006年には市北部の天全(てんぜん)県、芦山(ろざん)県、宝興(ほうこう)県をはじめとする地域が「四川ジャイアントパンダ保護区群」として世界遺産の自然遺産に登録された(世界自然遺産)。
[小野菊雄・編集部 2017年8月21日]