雪虫(読み)ユキムシ

デジタル大辞泉 「雪虫」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐むし【雪虫】

雪国で、早春の積雪上に現れて活動する昆虫セッケイカワゲラユキガガンボなど。
北海道東北地方で、雪の降りだす季節に現れる小さな昆虫。リンゴワタムシなど。体に白い分泌物をつけて群れて飛び、雪が舞うように見える。わたむし。 冬》

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精選版 日本国語大辞典 「雪虫」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐むし【雪虫】

〘名〙
① (からだに白い分泌物をつけて飛ぶのが雪片に似ているところからの名。また、この虫が飛ぶと雪が近いと信じられているところからともいう) 昆虫「わたむし(綿虫)」の異名。《季・冬》
※新傾向句集(1915)〈河東碧梧桐〉明治三九年「雪虫の飛ぶ廟前の木立かな」
北国で早春二月ごろ、雪の上に現われる昆虫。雪渓虫の羽化したものや下等なトビムシなどで、群をなして雪の上をはいまわったり、低く飛んだりする。《季・春》
読本・優曇華物語(1804)四上「雪ふりやみて、月光雲をひらき、雪虫(ユキムシ)の飛すら、見とむるばかり」

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改訂新版 世界大百科事典 「雪虫」の意味・わかりやすい解説

雪虫 (ゆきむし)

晩秋に道路や町中の家の軒下などをふわーと静かに飛ぶ白い小虫の北国での方言。雪のようだとも,この虫が飛ぶとやがて雪になるともいい伝えられている。東京では〈オオワタ〉とか〈シーラッコ〉と呼び,京都では〈白子屋お駒はん〉,大和その他で〈シロコババ〉,伊勢で〈オナツコジョロ〉,伊豆で〈シロバンバ〉,水戸で〈オユキコジョロ〉などの方言で呼ばれ,子どもたちがこの虫を追いかけて遊んだ。アブラムシ類の中でとくにワタアブラ亜科の仲間には白蠟物質を分泌する腺が多数あって,多く分泌されると体全体が白い綿で包まれたようになる種類の総称で,主としてワタアブラ属Eriosoma,ハマキアブラ属Prociphilus,ヨスジワタアブラ属Tetraneura,ゴバイシアブラ属Schlechtendaliaなどが,秋の寄主植物を離れて冬寄主へ移る移住飛翔(ひしよう)の際に目だちやすいので,江戸時代以降子どもの遊びの対象となったが,これを追って遊ぶことはしだいに忘れられていくようである。
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動植物名よみかた辞典 普及版 「雪虫」の解説

雪虫 (ユキムシ)

動物。アブラムシ科の昆虫の俗称

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世界大百科事典(旧版)内の雪虫の言及

【トドノネオオワタムシ】より

…夏の世代が造林のために植栽されたトドマツの苗木に寄生して,被害を出すことがある。 ワタムシの仲間はいずれもその名のように綿状の分泌物を体にまとうので,晩秋の移住のために緩やかに飛ぶ有翅虫は,北国では冬の訪れを告げる風物詩として知られ,ユキムシ(雪虫)と呼ばれる。オオワタ,シロバンバの俗称もある。…

※「雪虫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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