雲梯(読み)うんてい

精選版 日本国語大辞典 「雲梯」の意味・読み・例文・類語

うん‐てい【雲梯】

〘名〙
① 雲に達するほどの長いはしご。城を攻めるのに用いた。雲のかけはし。また、広く、はしごをいう。
※東海一漚集(1375頃)一・遊武夷山「手援鉄索雲梯。眼眩股戦心将退」 〔墨子‐公輸〕
水平または弧状に設けられたはしご状の運動設備。それに懸垂して渡る。
※まんだん読本(1932)勇敢に弱き支那兵〈西村楽天〉「雲梯(ウンテイ)あり高さ三千丈と云ふから何かと思へば、機械体操場の梁木の事である」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「雲梯」の意味・読み・例文・類語

うん‐てい【雲×梯】

昔、中国城攻めに使った長いはしご。
体育・遊戯施設の一。水平または弧状に作られた金属製のはしご状のもので、ぶらさがって渡れるようにした固定遊具。くもばしご。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「雲梯」の意味・わかりやすい解説

雲梯 (うんてい)

もとは雲にとどくほどの長いはしごの意味で,城攻めの道具であった。《墨子》には公輸般が製したと見えるが,朝鮮や日本でも用いられた。現在は,子どもたちが懸垂運動をするための体育・遊戯施設をいい,金属パイプ製のはしごを横にし,その両端支柱で固定したもので,水平型,山型,太鼓橋型など各種ある。両手でぶら下がり,体を振動させながら手を握りかえて移動していくのが普通の使い方であるが,その上を四つんばいになったり立ったりして歩いて渡っていく使い方もある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

普及版 字通 「雲梯」の読み・字形・画数・意味

【雲梯】うんてい

高いはしご。〔墨子、公輸〕般(こうしゆはん)、楚の爲に雲梯の械をりてる。將(まさ)に以て宋を攻めんとす。

字通「雲」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲梯」の意味・わかりやすい解説

雲梯
うなて

奈良県中西部、橿原(かしはら)市の一地区。市西部の曽我(そが)川曲流部に位置する水田農業地区。橿原運動公園があり、国道24号、165号が通じる。『和名抄(わみょうしょう)』の高市郡雲梯郷に比定される。『万葉集』では卯名手と記され、「真鳥住む卯名手の神社(もり)の菅(すが)の根を衣に書きつけ着せむ子もがも」(巻7)「思はぬを思ふといはば真鳥住む卯名手の杜(もり)の神し知らさむ」(巻12)と詠まれている。

[菊地一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の雲梯の言及

【魯班】より

…公輸子ともいい,魯の哀公(前494‐前468)の時代の人で,魯の昭公の子ともいわれるが定かでなく,また一説には魯班と公輸は別人ともいう。《墨子》に公輸の一編があり,公輸般が楚国のために〈雲梯(うんてい)〉と呼ばれる高く長い攻城の器具を作り宋を攻めようとしたことが記される。また同書の魯問篇に,竹木を削って(鵲(かささぎ),あるいは鳶(とび)ともいう)を作り,飛ばすと3日間も落ちることがなかったという。…

※「雲梯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android