雲辺寺山(九二七メートル)山頂にある。巨鼇山千手院と号し、真言宗御室派。本尊は千手観音。四国霊場八十八ヵ所の第六六番札所。雲辺寺山は阿波国のうちとされるが、札所としては讃岐国の最初とされる。阿波国雲辺寺旧記(続徴古雑抄)などによると、延暦八年(七八九)空海の草創で、嵯峨天皇の勅願所とされたという。往昔は堂塔全山に連なり、本尊千手観音像、脇侍の不動明王・毘沙門天両像は空海作、巨鼇山の額も空海の筆と伝えられてきた。承徳二年(一〇九八)火災により焼失したが、のち再建されたという。猟師末成が射た鹿を追って山に入ったところ、鹿が観音に化したといい、末成は発心勧進して堂宇を再興したと伝える(阿波国摩尼珠山高越寺私記)。貞治二年(一三六三)正月二四日の周書状写(雲辺寺文書)に寺名がみえ、足利氏から法華経の真読を依頼されている。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…標高911m。山頂にある雲辺寺(千手院)は四国霊場八十八ヵ所第66番の札所で,比較的高い山地の古刹(こさつ)として知られている。権威ある寺として崇敬され,16世紀末,長宗我部元親の阿波侵攻の際も雲辺寺だけは手をつけることができなかった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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