青沼郷(読み)あおぬまごう

日本歴史地名大系 「青沼郷」の解説

青沼郷
あおぬまごう

和名抄」東急本では「安乎奴万」、高山寺本は「安乎奴末」の訓を付す。現甲府市青沼一―三丁目を遺称地とする。郷名は正倉院宝物の太孤児面袋白裏に「(甲斐)国巨麻郡青沼郷物部高嶋調壱匹」と記された墨書銘を初見とするが、この調は天平勝宝四年(七五二)四月九日の奈良東大寺大仏の開眼供養に用いられた太孤児面の袋の裏裂に使用されていることから、同三年以前に貢進されたものと推定され(甲府市史)、すでに奈良時代に存在した郷であることが知られる。


青沼郷
あおぬまごう

「和名抄」にみえる巨麻こま郡青沼郷の系譜を引く中世郷。観応三年(一三五二)九月二一日の藤原伎行・源遠信連署打渡状写(毛利家文書)に「甲斐国青沼郷」とみえ、郷内逸見甲斐入道跡が金子平内左衛門信泰に引渡された。金子氏は安芸国温科ぬくしな(現広島市東区)地頭職を相伝した一族であるが、信泰は観応の擾乱の際足利尊氏方の甲斐守護武田信武に従っていたらしい。


青沼郷
あおぬまごう

「和名抄」高山寺本に「青治」と記し、訓はない。流布本に「青沼」と記し、これも訓を欠く。

「日本地理志料」は、塩野の真楽しおののしんらく(現北佐久郡御代田町塩野)は青沼山と号していて、寺に青沼(大沼ともいう)と称する巨池があるので、青沼という郷名の起源をこの地とし「塩野・馬瀬口・御代田・広戸・草越・池田・児玉の諸邑、豈其地ならん」とする。これによると、現在の御代田みよた町のほぼ全域をさすこととなる。「大日本地名辞書」は「今小海、海之口、海之尻(現南佐久郡南牧みなみまき村)などの地たるべし。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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