面心立方格子(読み)メンシンリッポウコウシ(その他表記)face-centered cubic lattice

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「面心立方格子」の意味・わかりやすい解説

面心立方格子
めんしんりっぽうこうし
face-centered cubic lattice

結晶構造の表現のために、空間格子をブラベ格子に従って分類する型の一つ。立方格子のつくる立方体の各面の中心にも格子点のある格子。記号F単位格子の原点0,0,0と面心点0,1/2,1/2; 1/2,0,1/2; 1/2,1/2,0の各点が等価となる多重度4の複合格子。立方体の相対する一対の頂点と面心点とでつくられる菱面(りょうめん)体格子(α=60゜)もこれと等価であるが、対称性の高い面心立方格子として記載されるのが普通である。塩化ナトリウムなど多くの結晶構造にみられる格子構造である。立方最密充填(じゅうてん)の構造は面心立方格子になるが、面心立方格子が最密充填になるとは限らない。

[岩本振武 2015年10月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「面心立方格子」の意味・わかりやすい解説

面心立方格子
めんしんりっぽうこうし
face-centered cubic lattice

結晶の空間格子の1種で,立方体の頂点と各面の中心に同一の原子が配置されたもの。単位胞の中の原子数は4個である。六方最密格子とともに同一の球が空間に最も密に配列した構造である。 12個の最近接原子がある。金属など単一元素から成る結晶に多くみられる。

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