銅にスズ,鉛を加えた合金で,たたくと良い音を発するため響銅と書かれ,佐波理とも書かれる。その語源は《箋注和名抄》では,鈔鑼が沙不良,佐波利と転訛したものという。正倉院文書に〈迊羅五重鋺〉という記述があり,〈迊羅〉は佐波理を指すものと推定される。佐波理は鋳造,挽物(ひきもの)仕上げに適した銅合金で,東京国立博物館の法隆寺献納宝物中の加盤などがこれに当たると考えられる。正倉院宝物中の加盤の表面観察結果では,銅にスズ,鉛が数%含まれていることが報告されている。室町時代以後,茶器の建水,水指,花瓶などにこの名称が用いられ砂張とも書かれているが,上代とは合金の比率が異なっている。明治初期に書かれた《銅器説》は〈銅一貫目 鉛三百目 錫百目〉(器物用),〈銅一貫目 鉛五十目 錫二百目〉(鳴物用),〈銅一貫目 鉛五十目 錫二百目又は三百目〉などの合金比をあげている。
執筆者:香取 忠彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…近代の白銅はニッケルを指している。(3)佐波理(さはり) 銅にスズ,鉛を加えた合金で,たたくとよい音を発するため響銅(さはり)とも書く。サハリの語は《和名抄》によると新羅の〈サフラ〉から転訛したという。…
※「響銅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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