響銅(読み)サハリ

デジタル大辞泉 「響銅」の意味・読み・例文・類語

さはり【響銅/胡器】

銅合金の一。鉛・すず、ときに少量の銀を加えたもの。また、それで作った仏具・皿・鉢など。茶の湯での建水・花入れなどに転用される。さわり。
[補説]「さふら(鈔羅)」の変化した語かといわれる。「砂張」「佐波理」などとも書く。

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精選版 日本国語大辞典 「響銅」の意味・読み・例文・類語

さはり【響銅・胡銅器・砂張】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 銅を主成分とし鉛・錫(すず)を加えた合金。また、それでつくった椀形の仏具。磬(けい)代用として読経の時などに打ち鳴らす。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「朝の看経さはりの響にとうからとうからの撥音いっそ見てやって」(出典:評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)三)
  3. 皿・鉢の形をした古銅器。茶家で建水などに用いる。〔東雅(1717)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「響銅」の意味・わかりやすい解説

響銅 (さはり)

銅にスズ,鉛を加えた合金で,たたくと良い音を発するため響銅と書かれ,佐波理とも書かれる。その語源は《箋注和名抄》では,鈔鑼が沙不良,佐波利と転訛したものという。正倉院文書に〈迊羅五重鋺〉という記述があり,〈迊羅〉は佐波理を指すものと推定される。佐波理は鋳造,挽物(ひきもの)仕上げに適した銅合金で,東京国立博物館の法隆寺献納宝物中の加盤などがこれに当たると考えられる。正倉院宝物中の加盤の表面観察結果では,銅にスズ,鉛が数%含まれていることが報告されている。室町時代以後,茶器の建水,水指,花瓶などにこの名称が用いられ砂張とも書かれているが,上代とは合金の比率が異なっている。明治初期に書かれた《銅器説》は〈銅一貫目 鉛三百目 錫百目〉(器物用),〈銅一貫目 鉛五十目 錫二百目〉(鳴物用),〈銅一貫目 鉛五十目 錫二百目又は三百目〉などの合金比をあげている。
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食器・調理器具がわかる辞典 「響銅」の解説

さはり【響銅/胡銅器】

銅、錫(すず)、鉛の合金。また、それで作った碗形のうつわ、鍋、仏具など。鍋は和菓子あんや飴を練るのに用いる。茶道では、建水(けんすい)花器などに転用する。また、叩くと良い音がすることから読経の際の打ち鳴らしにも用いる。

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世界大百科事典(旧版)内の響銅の言及

【銅合金】より

…近代の白銅はニッケルを指している。(3)佐波理(さはり) 銅にスズ,鉛を加えた合金で,たたくとよい音を発するため響銅(さはり)とも書く。サハリの語は《和名抄》によると新羅の〈サフラ〉から転訛したという。…

※「響銅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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