翻訳|hula
ハワイ諸島の伝統的な踊りとその音楽。起源は非常に古く,初めは宗教儀式として,神殿で男性だけが踊っていたが,やがて女性にも許され,1778年にJ.クックがハワイに来たころには,女性による優雅なフラの踊りの型が完成していた。古典フラは大きく分けて2種あり,太鼓の伴奏で踊る宗教的なフラ・パフhula pahuと,イプ(ひょうたん)の伴奏で踊る語り物的なフラ・アーラアパパhula `āla`apapaであった。踊りは胸部を固定し,手,腰,足,そして表情ことに目を優雅に動かして,太陽,鳥,海などの自然を描写的に表現するパントマイムの要素をもつ。音楽はゆったりバウンスするリズムにのった詠唱的な歌に打楽器(太鼓もしくはイプ)がつくのが古典的な形で,この歌をメレ・フラmele hulaという。
1820年以降アメリカからキリスト教の宣教師が来島し,フラを不道徳的なものと曲解して禁止,その後19世紀末期に再興されてモダン・フラの時代を迎えるが,商業主義に毒された俗悪な腰振り踊りがフラあるいはフラ・ダンスと呼ばれた例が多く,フラに対する誤解は今なお払拭されていない。
執筆者:中村 とうよう
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…【正井 泰夫】
[伝統音楽]
ハワイ伝統文化において音楽が文芸,舞踊と結合した形で行われてきた点では他のポリネシア諸島と共通しているが,ポリネシアの中では例外的に楽器の種類が多い。ヤシの丸太をくりぬきサメ皮を張った片面太鼓パフpahu,ヤシ殻に魚皮を張り膝に結びつける片面太鼓プーニウpūniu,巨大なひょうたんをマットの上で搗奏したり,指や手のひらで打奏するイプipuなどは舞踊フラhulaの伴奏楽器として基本的である。おもに踊手自身が採物として手に持つ音具としては,2本の硬い木片を打ち合わせるカラアウkala’au,小さなひょうたんやヤシ殻の中に小石,種子を入れた羽毛飾つきがらがらとしてのウリーウリーulī’ulī,竹筒を櫛のように細く裂いたささら竹を身体に打ちつけるプーイリpū’ili,2対の平らな石を両手に持ってカスタネットのように打ち合わせるイリイリ’ili’iliがそれぞれ特有の音色により変化に富んだ音響世界をつくり出す。…
…この3区分はそれぞれ地史的な背景をもつ。(1)オーストラリアとその東岸の大堡礁(グレート・バリア・リーフ)や北側のアラフラ海域を含めた広いサフール陸棚地域などは,古い先カンブリア時代の楯状地を境にし,主として先カンブリア時代~古生代の地殻変動を通じて成長してきた地域である。中生代終りごろにこの陸塊はゴンドワナ大陸から分離したあと,海洋底の拡大等の運動に伴って現在のような形や構造をとることになった。…
…【正井 泰夫】
[伝統音楽]
ハワイ伝統文化において音楽が文芸,舞踊と結合した形で行われてきた点では他のポリネシア諸島と共通しているが,ポリネシアの中では例外的に楽器の種類が多い。ヤシの丸太をくりぬきサメ皮を張った片面太鼓パフpahu,ヤシ殻に魚皮を張り膝に結びつける片面太鼓プーニウpūniu,巨大なひょうたんをマットの上で搗奏したり,指や手のひらで打奏するイプipuなどは舞踊フラhulaの伴奏楽器として基本的である。おもに踊手自身が採物として手に持つ音具としては,2本の硬い木片を打ち合わせるカラアウkala’au,小さなひょうたんやヤシ殻の中に小石,種子を入れた羽毛飾つきがらがらとしてのウリーウリーulī’ulī,竹筒を櫛のように細く裂いたささら竹を身体に打ちつけるプーイリpū’ili,2対の平らな石を両手に持ってカスタネットのように打ち合わせるイリイリ’ili’iliがそれぞれ特有の音色により変化に富んだ音響世界をつくり出す。…
※「ふら」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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