頽れる(読み)クズオレル

デジタル大辞泉 「頽れる」の意味・読み・例文・類語

くず‐お・れる〔くづほれる〕【×頽れる】

[動ラ下一][文]くづほ・る[ラ下二]
《「おれる」を「折れる」の意に解して》気力が抜けて、その場に崩れるようにして倒れたり、座り込んだりする。「悲しみのあまりその場に―・れる」
気落ちする。
「私は―・れた気持で…んやりながめていた」〈林芙美子放浪記
体力思考力が衰え弱る。衰弱する。
「老いねど、―・れたる心地ぞするや」〈少女
[類語]くじけるへこたれるおじける参る屈する砕ける負けるめげる気を落とす気が抜ける張り合いが抜ける力を落とす肩を落とす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「頽れる」の意味・読み・例文・類語

くず‐お・れるくづほれる【頽・頽折を】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]くづほ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 体や考え方などが年老いて衰える。衰弱する。弱くなる。
    1. [初出の実例]「御行ひを、時の間もたゆませ給はずせさせ給ふつもりの、いとどいたうくづをれさせ給に」(出典:源氏物語(1001‐14頃)薄雲)
    2. 「五十年、六十年のよはひかたぶくより、あさましうくづをれて」(出典:俳諧・芭蕉庵小文庫(1696)閉関之説)
  3. 気が弱る。気がくじける。気落ちする。
    1. [初出の実例]「おとどの御おきてのあまりすくみて、名残なくくつをれ給ひぬるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
    2. 「私はくづ折れた気持ちで、片づけてゐるたい子さんの白い手を呆んやりながめてゐた」(出典:放浪記(1928‐29)〈林芙美子〉)
  4. くずれてだめになる。身をもちくずす。
    1. [初出の実例]「誠と思ふて身のくづ折(ヲ)るるも厭はず通はるるを」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)四)
  5. くずれるように倒れる。くずれ倒れる。
    1. [初出の実例]「必あげて下さんすな、どうでもお身がくづをれる」(出典:浄瑠璃・本朝三国志(1719)一)

頽れるの補助注記

「おれる」が「折れる」の意に解されて、近世以後、意味が広がって用いられるようになった。

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