負ける(読み)マケル

デジタル大辞泉 「負ける」の意味・読み・例文・類語

ま・ける【負ける】

[動カ下一][文]ま・く[カ下二]
相手と戦ったり争ったりした結果、力の劣った立場になる。敗れる。「試合に―・ける」「賭けに―・ける」⇔勝つ
他と比べて劣る。圧倒される。劣勢である。「腕力では誰にも―・けない」「―・けずにやり返す」⇔勝つ
欲望や働きかけなどを抑えることができなくなる。また、悪い条件や困難な状態を切り抜けられなくなる。「誘惑に―・ける」「夏の暑さに―・ける」「相手の熱意に―・ける」⇔勝つ
金銭を失う。損をする。「パチンコで五千円―・ける」⇔勝つ
薬品うるしなどにかぶれる。「かみそりに―・ける」
値段を安くする。また、おまけとして付ける。「売れ残りを―・けて売る」「一個―・けてもらう」
相手に従う。ゆずる。
「火に焼かむに、焼けずはこそまことならめと思ひて、人の言ふことにも―・けめ」〈竹取
[類語](1陥落落城敗走潰走帰服帰順屈従服従忍従敗れる参る敗北する敗退する完敗する惨敗する大敗する惜敗するやられる土がつく一敗地にまみれる屈するふくする屈服するくじけるひざを屈する降伏降参投降ギブアップかぶとを脱ぐシャッポを脱ぐ一本取られる敗戦負け戦ひざをかがめる軍門にくだへこたれるおじける砕けるめげるくずおれる気を落とす気が抜ける張り合いが抜ける力を落とす肩を落とす/(2劣る輸する見劣りする引けを取る一籌いっちゅうを輸する遅れを取る/(6値引きするおまけする勉強する奉仕するサービスする泣く色を付ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「負ける」の意味・読み・例文・類語

ま・ける【負】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ま・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
    1. 力や技が劣って敵することができなくなる。優劣強弱などをきそって、屈服する。敗北する。⇔勝つ
      1. [初出の実例]「大唐の船師と合ひ戦ふ。日本不利(マケ)て退く」(出典:日本書紀(720)天智二年八月(北野本訓))
    2. ひけめを感じる。また、気持の上ではりあうことができなくなる。
      1. [初出の実例]「思ふには忍ぶることぞまけにける逢ふにしかへばさもあらばあれ」(出典:伊勢物語(10C前)六五)
    3. 理に屈して、相手に従う。
      1. [初出の実例]「此の皮衣は、火に焼かんに焼けずはこそ、誠ならめと思ひて人のいふ事にもまけめ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    4. ある物事に対して抵抗できなくなる。「誘惑に負ける」
      1. [初出の実例]「ワガ ミヲ タッシテ セッシヲサメザル ヒトワ タチマチ Tentaçāo ニ セメラレ、イササカノ イヤシキ コトニモ maquru(マクル)ナリ」(出典:コンテムツスムンヂ(捨世録)(1596)一)
    5. 漆、薬品、寒暑など外部から受ける強い刺激で皮膚や肉体が損傷する。
      1. [初出の実例]「うるしにまけたる者に付れば」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ま・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
    1. 値引する。安くする。また、おまけをつける。
      1. [初出の実例]「今までの利分をばまけておまさうぞ」(出典:虎寛本狂言・胸突(室町末‐近世初))
    2. 大目に見る。

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