六訂版 家庭医学大全科 「顔面骨骨折」の解説
顔面骨骨折
がんめんこつこっせつ
Fracture of facial bones
(外傷)
顔面骨骨折とは
顔面は11種18個の骨から構成され、下顎骨を除いて互いに接合してひとつの骨を形成しています(図24)。
顔面骨折には単独骨折(単独の骨の骨折)と多発骨折(複数の骨の骨折)とがあり、受傷原因や外力の強さの方向によって決まります。
関西医科大学救命救急センターにおける1987~96年の10年間の顔面骨骨折の部位別頻度を図25に示します。
原因は何か
交通事故が全体の50%を占め、ほかに労働災害、スポーツ外傷、高所からの落下、暴力などがあります。特殊な骨折として
症状の現れ方
単独骨折の症状を部位別に示します。
①
骨折部の陥没、
②
眼球がへこみ、眼球運動が制限され、複視が生じます。これは多くは上下方向で強く現れます。眼瞼皮下出血、結膜下出血、患側の
③
眼瞼周囲の皮下出血、はれ、頬部の陥没、眼球陥没、眼球の
上顎骨の骨折のしかたには
症状は顔面全体のはれ、大量の鼻出血、骨折部片の動揺、顔面が長く扁平化、歯の噛み合わせの異常、髄液鼻漏などさまざまです。
疼痛、口腔内や皮下の出血、はれ、開口障害、
検査と診断
さまざまなX線撮影、CT、3DCT(3次元CT)、MRI、眼窩吹き抜け骨折ではヘスチャート(眼球運動範囲の測定)、眼球
治療の方法
手術で骨折部を整復し、チタンプレートあるいは吸収性プレートで固定します。
上顎骨折、下顎骨折では、上下顎間をワイヤーなどで固定する顎間固定を行います。
眼窩吹き抜け骨折や粉砕骨折では、ほかの部分から骨を採取して移植します。
小川 豊
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報