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顎骨骨折 がくこつこっせつfracture of the jaw

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

顎骨骨折
がくこつこっせつ
fracture of the jaw

骨折部位により上顎骨骨折,下顎骨骨折,歯槽骨骨折がある。原因交通事故転倒,作業事故,スポーツ事故,けんかなどの外傷によることが多いが,骨髄炎腫瘍などの疾患が存在するために起る病的骨折もある。皮膚,粘膜歯肉の損傷や,歯の脱臼や歯折を伴う。骨折片がずれるために,顔に変形を生じ,噛み合せが異常となり,談話も不自由になる。治療は,骨のずれを正しい咬合状態を目安として整復し,ただちに固定して骨の癒合を待つが,およそ6~10週を要する。

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世界大百科事典 第2版の解説

がくこつこっせつ【顎骨骨折 fracture of the jaw】

あごの骨が骨折,離断すること。歯槽突起が多く,上顎より下顎が3倍ほど多い。原因はさまざまであるが,交通事故によるものが最も多く,次いで作業事故,転倒,転落,衝突,けんか,スポーツ事故による打撲殴打などとなる(これらを外傷性骨折という)。病的原因によるもの(病的骨折)としては,腫瘍,囊胞,骨髄炎があり,まれに抜歯時にも起こる。女性よりも男性に多くみられ,20~30歳代に多い。また日本では10歳以下の小児が諸外国に比べて多いのが特徴である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

顎骨骨折
がくこつこっせつ

顎骨がなんらかの原因で離断された状態をいう。骨折の部位により上顎骨骨折、下顎骨骨折、歯槽(しそう)突起(歯根部を固定している骨質で、いわゆる歯槽骨)骨折などに分けられる。発生頻度は、上顎骨より下顎骨が、また上・下顎を通じては歯槽骨がもっとも高い。原因により外傷性骨折と病的骨折に分けられる。前者は交通事故によるものが多く、ついでスポーツ、作業事故、殴打、転落、転倒等による。後者は広範囲の骨髄(こつずい)炎、腫瘍(しゅよう)、嚢胞(のうほう)、放射線障害、全身性疾患等による。顎骨骨折は青壮年男子に圧倒的に多くみられ、年齢別では20~40歳代が大部分を占める。なお小児では4~7歳と12~13歳に多い。下顎骨骨折を生じると、骨折部位に応じてあごの一定の偏位がおこる。骨折部付近には疼痛(とうつう)、腫脹(しゅちょう)、出血、歯肉・口腔(こうくう)粘膜の損傷、歯折、歯の脱臼(だっきゅう)等がみられることが多い。骨折の状態により上・下顎の咬合(こうごう)(かみ合せ)異常、顔貌(がんぼう)の変形、骨折片の触れ合う軋轢(あつれき)音、開口障害、そしゃく障害等を生じる。上顎骨骨折においては、上記の症状のほかに、目の周囲に眼鏡様皮下出血、鼻・目・耳の出血等を伴うことが多い。頭蓋(とうがい)骨や頭蓋底の骨折が合併すると、脳しんとうや脳挫傷(ざしょう)を生じ一般に重篤な症状を呈する。顎骨骨折の診断には、X線写真が重要な役割をもつ。全身状態に注意して止血やショックに対する処置を施し、呼吸困難なときには気道確保が行われる。抗生物質、サルファ剤等により感染を防ぎ、栄養補給を行いながら局所ならびに全身の安静を保つ。局所に対しては、消毒、小骨片や各種異物の除去、骨癒着の障害となる歯の抜歯、軟組織損傷に対する縫合等の処置を行う。
 顎骨骨折治療においては、顔貌・あごの形態の整復はもちろん、正常な咬合の回復もたいせつである。受傷後2週間以内では手術によらない整復を行い、受傷後1か月以上を経て、骨が偏位したまま癒着している場合には、手術をして整復を行う。とくに脳損傷あるいは身体の他の部位の合併症がある場合には、顎骨骨折が放置されてしまう例がみられる。いずれにしても、整復にあたっては、ただちに固定を行う。固定法には顎内固定法、顎外固定法、顎内外固定法があり、通常4~6週間で臨床的に骨性癒合を認める。なお、小児の場合は、骨新生が旺盛(おうせい)なので3~4週間の固定期間で治癒することが多い。[矢正之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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