風土記御用書出(読み)ふどきごようかきだし

日本歴史地名大系 「風土記御用書出」の解説

風土記御用書出(安永風土記)
ふどきごようかきだし

成立 安永年間

原本 宮城県図書館ほか

解説 領内の村々の様子を把握するため、仙台藩が村ないし知行所単位に書上げさせたもの。各村の「風土記御用書出」をはじめ、その付属文書としての「代数有之御百姓書出」「品替御百姓書出」「古人(代数)書出」「社人書出」や寺院・修験院の書出、有力家臣の領分書出などの総称であり、藩政中期住民の実態を知るうえで重要な資料。村書出の項目は村名由来、田畑の貫高、その蔵入・給所別、人頭数・家数・男女数から寺社・堤・堰・山川産物・道・屋敷名・村境などまで五〇以上にわたっており、村明細帳の性格に近い。作成された年代はおおよそ牡鹿・玉造・名取郡などが安永二年、黒川登米・牡鹿・本吉(南部)・宮城郡が同三年、志田遠田郡などが同四年、加美桃生郡などが同五年、刈田郡などが同六年、栗原・柴田郡が同七年、亘理伊具郡が同八年、本吉郡(北部)が同九年となっている。この書出は仙台藩の儒学者田辺希元が、父希文の「封内風土記」の欠を補うために調査した記録といわれてきたが、同様のものがこの時期だけではなく、安永以前には延宝(正保期にさかのぼるとも)元禄・享保・宝暦年間に、以後には少なくとも文政・嘉永年間にも作成されたことが知られている。もっとも多く残っているのが安永期のもので、村書出ではほぼ七〇パーセント近くの村のものが発見されている。

活字本宮城県史」四・二三―二八・三二ほか

風土記御用書出(安永風土記)
ふどきごようかきだし

成立 安永年間

原本 宮城県図書館ほか

解説 領内の村々の様子を把握するため、仙台藩が村ないし知行所単位に書上げさせたもの。各村の「風土記御用書出」をはじめ、その付属文書としての「代数有之御百姓書出」「品替御百姓書出」「古人(代数)書出」「社人書出」や寺院・修験院の書出、有力家臣の領分書出などの総称であり、藩政中期住民の実態を知るうえで重要な資料。村書出の項目は村名由来、田畑の貫高、その蔵入・給所別、人頭数・家数・男女数から寺社・堤・堰・山川・産物・道・屋敷名・村境などまで五〇以上にわたっている。作成された年代はおよそ江刺郡が最も早く安永二年、磐井郡が同四年、胆沢郡が同五年、気仙郡が同六年となっている。この書出は仙台藩の儒学者田辺希元が、父希文の「封内風土記」の欠を補うために調査した記録といわれてきたが、同様のものがこの時期だけではなく、安永以前には延宝(正保期にさかのぼるとも)・元禄・享保・宝暦年間に、以後には少なくとも文政・嘉永年間にも作成されたことが知られ、最も多く残っているのが安永期のものである。

活字本 「宮城県史」四・二三―二八・三二ほか

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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