食の医学館 の解説
しょくごのちゅうせいしぼうのじょうしょうをおさえたいしぼうをつきにくくするしょくひん【食後の中性脂肪の上昇を抑え、体脂肪をつきにくくする食品(具体的な商品名)】
塩分のとりすぎは高血圧症をまねく原因となります。いまや若年齢で高血圧症だと診断される人も多く、10代で症状が現れている人もいるそうです。
高血圧症は、それ自体は死因にはなりませんが、命にかかわる生活習慣病を引き起こす要因となります。
高血圧症を予防するには、日ごろの食生活を改善することがなによりたいせつなことです。
特定保健用食品にも血圧が高めの人、血圧が気になる人に適した食品があるので、利用してみるといいでしょう。
現在、許可されている食品群には、杜仲葉(とちゅうば)配糖体、ペプチド類といった成分が利用されています。
〈血管の筋肉を弛緩させて血圧を下げる杜仲葉配糖体〉
杜仲の葉に含まれる配糖体には、副交感神経を刺激して動脈の筋肉を弛緩(しかん)させる作用があります。
その結果、血管を広げて血流をよくして、血圧の上昇を抑える働きをするのです。
加えて、自然治癒力(しぜんちゆりょく)を強化する働きもあり、血圧をベストな状態に調整するともいわれているので、低血圧の人にも効果が期待できます。
また、杜仲葉配糖体の代表的な成分である「ゲニポシド酸」には、コラーゲンやたんぱく質の代謝能力を高めたり、細胞内物質を強く丈夫にして、体の組織の若さを保つ働きも期待できます。
さらに、血液中の中性脂肪や総コレステロール値を下げる作用もあるといわれています。
〈血圧を上昇させる物質を阻害するペプチド類〉
杜仲葉配糖体以外では、ペプチド類を利用している食品が多くみられます。おもに使われているのは、以下の4種です。
・カゼインドデカペプチド
牛乳のたんぱく質から得られる成分。
・ラクトトリペプチド
ヨーグルトなどの発酵乳から得られる成分。
・かつお節オリゴペプチド
かつお節を酵素分解して得られる成分。
・バリルチロシンを含むサーデンペプチド
サーデンペプチドはイワシのたんぱく質から得られる成分。
これに含まれている特殊なペプチドがバリルチロシンで、血圧を穏やかに低下させる働きがあります。
これらのペプチド類は、血圧にかかわるアンジオテンシン変換酵素(ACE)に働きかけて血圧の上昇を抑えます。そのしくみは、次のように考えられています。
肝臓や脂肪細胞から分泌(ぶんぴつ)されたアンジオテンシノーゲンというたんぱく質が腎臓(じんぞう)に送られると、レニンという酵素が作用してアンジオテンシンIができます。ACEはアンジオテンシンIに作用して血圧上昇作用物質であるアンジオテンシンIIを生成します。
アンジオテンシンIIは、血管収縮作用をもっているので、血圧が高めの人の血圧を、より高めにしてしまいます。
前述したペプチドは、いずれもACEを阻害し、その働きを抑制するため、血圧の低下に役立つといわれているのです。
いずれも正常な血圧の人には影響はないので、安心して食べられます。