食籠(読み)ジキロウ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

食物を入れる蓋(ふた)付き、身の深い容器。沈金(ちんきん)、彫漆(ちょうしつ)、螺鈿(らでん)などで装飾されている漆器が多く、黒漆塗り、竹編み、陶磁器などもある。形は円形、四角、六角、八角、輪花形などさまざまあり、重ね式のものもある。中国の元、明(みん)時代につくられた食籠が日本に輸入され、唐物(からもの)として珍重されたことが、『君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)』に棚飾りとして図に載っているのをはじめ、室町時代の日記類にもみられる。のち、茶道で菓子を入れる容器として用いられるようになった。[白石和己]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「じき」は「食」の呉音) 食物を入れる容器。ふたがあり、円形のものが多く、重ねたものもある。からかね、または堆朱(ついしゅ)で作る。食物の贈物に用いたり、座敷の棚の装飾品にしたりする。
※延喜式(927)三二「雑給料〈略〉六位已下二百六十人・人別〈略〉食籠二百六十合〈各長一尺二寸・広八寸・深二寸〉」
※随筆・孔雀楼筆記(1768)一「重箱食籠(ジキラウ)などに食物あり」

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世界大百科事典内の食籠の言及

【重箱】より

…またこれに,蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)などで精巧な装飾文をほどこしたものや,春慶塗などのものもある。〈重箱〉の名は室町時代の饅頭屋本(まんじゆうやぼん)《節用集》に見え,《好古日録》に記されるように,直接的には重ねの食籠(じきろう)から転じたものと思われる。しかし器形や木組みの手法などは,むしろ法華経や最勝王経など数そろいの巻子経を納置するために平安時代から多用されてきた重ね経箱と軌を一にするもので,このような伝統的な重ね箱の形成が生活用具としての重箱の形式に範とされたに違いない。…

※「食籠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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