菓子器(読み)カシキ

大辞林 第三版の解説

かしき【菓子器】

菓子を盛る器。鉢物はちものと蓋物ふたものとがある。菓子入れ。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

菓子器
かしき

茶菓子を入れる器。茶の湯の菓子には主菓子(おもがし)と干菓子(ひがし)の2種類があり、菓子器にもそれぞれ主菓子器と干菓子器とがある。季節感をだいじにする茶の湯においては、菓子にも時季の情趣が反映されるので、おのずからこれを盛る器も多種に及ぶ。また宗匠の好み物なども入れると相当な数に達するが、おおよそ縁高(ふちだか)、食籠(じきろう)、高坏(たかつき)、菓子鉢、銘々皿、盆、振出(ふりだし)などに分けられる。縁高は主菓子用で茶事などの正式な場合に用い、五重を一組とし、蓋(ふた)が1枚ついている。だいたい5寸(約15センチメートル)角に高さ2寸5分の縁がついているので、この名称がある。食籠というのは、もともと書院の棚飾りに用いられたり、食物の贈答に用いられたりした蓋物で、素材は漆器、陶器、籠地(かごじ)などがあり、主菓子に用いられる。とりわけ堆朱(ついしゅ)、堆黒(ついこく)、青貝を施したものなどは重厚な趣(おもむき)がある。高坏は文字どおり高い足付きの器で、初めは土器であったが、のちに木製や塗り物となった。菓子器としては主菓子にも干菓子にも使う。菓子鉢はもっとも多種多彩で、主菓子に用いられる。唐物(からもの)では青磁、染付、祥瑞(しょんずい)、赤絵など、高麗物(こうらいもの)では象眼(ぞうがん)青磁をはじめ、三島、御本(ごほん)、堅手(かたで)などがある。和物では名窯(めいよう)のほとんどがそれを製作し、ことに鼠志野(ねずみしの)、絵志野、織部(おりべ)、備前(びぜん)、唐津(からつ)、九谷(くたに)、伊万里(いまり)のほか、京焼でも仁清(にんせい)、乾山(けんざん)、永楽(えいらく)などの名工が好んでこれをつくっている。銘々皿は陶器製、漆器製があり、本来縁高を略したもので、近代になってから使われ、各人に出すが、その大きさは15センチメートルくらいが標準で、主菓子にも干菓子にも用いられる。また振出と称して、携帯用の茶箱や茶籠に用いるごく小さな菓子器もある。なお菓子器は、菓子を盛ったときの余白が多くても少なくても落ち着かず、あくまで菓子との調和がたいせつである。[筒井紘一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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