古くから菓子やかまぼこなど食品を赤く着色することが行われていたが,その着色に用いた染料を食紅という。日本ではベニバナから得られる色素が一般に用いられた。ベニバナはキク科に属する植物で,それから食紅を得るにはまず赤い花を水に浸漬(しんし)し,黄色色素を除く。残渣を灰汁に浸漬すると紅色の色素が浸出してくる。浸出液に梅酢を入れpHを下げると紅色色素は沈殿する。沈殿した色素を絹の布でろ過し,乾燥させて製品とする。食品の着色以外にも口紅として化粧用に,また染料にも用いられた。現在でもこの伝統的製法で菓子の着色用に生産している。石炭を原料としたタール系色素が開発されると,その低価格,色の鮮やかさ,色伸びのよさなどから代替されていった。しかし,最近になって,タール系色素が安全性の問題から消費者に好まれなくなり,再び生産されるようになり,製法も近代化された。ベニバナの赤色色素の本体はカルタミンcarthaminと呼ばれる一種の配糖体である。
→食用色素
執筆者:田島 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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