養殖真珠(読み)ヨウショクシンジュ

デジタル大辞泉 「養殖真珠」の意味・読み・例文・類語

ようしょく‐しんじゅ〔ヤウシヨク‐〕【養殖真珠】

アコヤガイなどの軟体の中に貝殻片などから作った球形の核を入れ、一定期間養殖して作った真珠

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精選版 日本国語大辞典 「養殖真珠」の意味・読み・例文・類語

ようしょく‐しんじゅヤウショク‥【養殖真珠】

  1. 〘 名詞 〙 養殖している真珠貝に人為的に貝殻片でつくった核を挿入して生じさせた真珠。
    1. [初出の実例]「養殖真珠の指環だの翡翠まがひの帯止めだのが」(出典:葱(1920)〈芥川龍之介〉)

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百科事典マイペディア 「養殖真珠」の意味・わかりやすい解説

養殖真珠【ようしょくしんじゅ】

養殖によりつくられた真珠。真珠貝の体内に人工の核を挿入して形成させたもので,御木本幸吉(みきもとこうきち)が初めて実用化に成功した。ふつうアコヤガイを用いるが,クロチョウガイイケチョウガイアワビなども使用されることがある。まず杉枝,貝殻,金網などで作った採苗器を海中に下げて,アコヤガイの幼生を採取し,3cmほどに成長すると籠(かご)に入れて筏(いかだ)から垂下させ養成する。挿核手術は2〜3年の若貝に行い,貝殻で作った球形の核をアコヤガイの外套(がいとう)膜の上皮細胞の一部とともに貝体内に挿入する。施術後の貝は再び籠に移し,半年〜3年後に取り上げて真珠を取り出す。真珠養殖は日本が最も盛んであるが,東南アジアやオーストラリアの海域でも多少行われている。
→関連項目養殖

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「養殖真珠」の意味・わかりやすい解説

養殖真珠
ようしょくしんじゅ

天然真珠にみられる遊離真珠の形成原理を応用して、貝類に人為的に発生させた真珠。母貝の体内に、ほか個体の外套膜片(がいとうまくへん)と核を挿入し、一定期間養殖したのち収穫する。アコヤガイを母貝とする真円真珠がもっとも生産量が多い。核のみを貝殻と軟体部の間に挿入する半円真珠(マベ)や、核を要しない無核真珠(淡水産イケチョウガイ)もある。

[和田克彦]


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世界大百科事典(旧版)内の養殖真珠の言及

【アコヤガイ(阿古屋貝)】より

…養殖真珠の母貝に使うウグイスガイ科の二枚貝(イラスト)。真珠をとるのでシンジュガイともいう。…

【真珠】より

…アコヤガイなどの貝類の体内に,その貝殻と同質の炭酸カルシウムを主成分として形成された球状あるいは不定形の物質をいう。農水省では,(1)真珠養殖事業法にいう真珠とは,生きた真珠貝の中で球状または半球状(多少の変形を含む)に形成される代謝生産物であって,かつ,この外見しうる部分の主たる構成物質が,真珠貝の真珠層と等質であるものをいい(その内部に貝殻質から作られた核を含むか否かは関係ない),(2)この場合,真珠貝中におけるその形成契機に,まったく人為的な要因を含まないものを天然真珠といい,その契機を人為的に与えられるものを養殖真珠というと定めている。ここで真珠貝と称しているものは,真珠を作る貝を意味し,海産の貝ではアコヤガイ,クロチョウガイ,シロチョウガイ,マベ,アワビ,淡水産の貝ではイケチョウガイなどすでに産業に用いられている貝類をさしている。…

【水産工芸品】より

…天然真珠はアコヤガイ,アワビ,カラスガイなどに,まれではあるが自然にできるもので,昔から装飾品として珍重されてきた。アコヤガイに人工的に真珠の核となる貝殻の小片を挿入して真珠層を生成させる養殖真珠の技術が確立して以来大量生産が可能となり,日本の独占的産業として発展してきた。真珠は大玉,中玉,小玉,厘玉のサイズ別に,またピンク系やホワイト系など7基調色に分けられ市場に出る。…

【対馬】より

…またタイ,ハマチ,真珠の養殖が行われている。とくに浅茅湾を中心とする真珠養殖は,大正期に島外業者によって導入されたもので,第2次大戦後急速に伸びて地元民による養殖も行われており,養殖真珠の日本三大産県の一つである長崎県の総収獲量の約4割を占めている。地下資源は亜鉛,鉛を埋蔵し,東邦亜鉛が厳原町佐須地区の対州鉱山で採掘し精錬していたが,カドミウム公害の発生もあって73年に閉山し,めぼしい鉱工業は島から消えた。…

※「養殖真珠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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