普通、植物を栽培するときには、土の力を借りて養水分を吸収させるが、水耕栽培のように無土壌栽培するものは、養水分の補給はすべて人工的に調整された培養液で行われる。これを養液栽培といい、水耕栽培の一種である。養液栽培には次のような形式がある。(1)培養液を根に吹き付ける方式の噴霧耕、(2)培養液をベッド内に貯留し、還流させながら酸素補給する水耕(水気耕)、(3)礫(れき)(小石)や燻炭(くんたん)(もみ殻を焼いて炭化させたもの)、ウレタンなどを用いて根を固定させる固形培地耕などである。
養液栽培の実用化は、1929年アメリカ、カリフォルニア農業試験場のゲーリケWilliam F. Gerickeらによって始められ、わが国では1946年(昭和21)東京・調布市で駐留軍によって水耕栽培が行われた。実用施設として一般に普及するのは、1960年農林省園芸試験場(静岡県清水(しみず)市興津(おきつ)、現静岡市清水区興津)で山崎肯哉(こうや)、堀裕(ひろし)の指導の下に礫耕栽培による生産技術が確立されてからである。これらの技術やシステムを基礎に各種の形式の養液栽培装置が考案されてきている。
[堀 保男]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…植物が正常に生育するために必要な元素を含む水を与え,土壌を用いないで植物を栽培する方法。無土壌栽培soilless culture,養液栽培solution culture,ハイドロポニックスともいう。クロッカスやヒアシンスなど球根植物では,球根自体に養分があるので水だけで栽培でき,この場合は水栽培という。…
※「養液栽培」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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