日本大百科全書(ニッポニカ) 「香北」の意味・わかりやすい解説
香北
かほく
高知県北東部、香美郡(かみぐん)にあった旧町名(香北町(ちょう))。現在は香美市(かみし)の中部を占める地域。1956年(昭和31)美良布(びらふ)町と暁霞(ぎょうか)村が合併して大宮町となり、1961年在所(ざいしょ)村と合併して香北町となった。2006年(平成18)土佐山田町、物部(ものべ)村と合併して市制施行、香美市となる。国道195号が通じる。物部(ものべ)川中流の河岸段丘上にあり、比較的平坦(へいたん)地が多く、近世には韮生野(にろうの)とよばれ穀倉地帯をなした。米、薪炭、コウゾは物部川水運によって高知、土佐山田へ送られたが、明治以後道路が整備され、水運は衰退した。現在も酒米としても利用される韮生米のほか、ニラ、ショウガなどを生産するが、近年は高知市への通勤兼業も多い。物部川の電源開発が進み、永瀬、吉野のダムがある。永瀬ダムの下流には猪野沢(いのさわ)温泉があり、一帯は奥物部県立自然公園となっている。物部川の支流の日比原(ひびわら)川にある轟の滝(とどろきのたき)は県の天然記念物および名勝に指定されている。
[正木久仁]
『『香北町史』(1968・香北町)』