馬鐸(読み)バタク

デジタル大辞泉 「馬鐸」の意味・読み・例文・類語

ば‐たく【馬×鐸】

馬具の一。中につるした棒と触れ合って鳴る青銅製の小さな鈴。日本では古墳時代の飾り馬の胸につるした。中国では馬鈴とよぶ。

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精選版 日本国語大辞典 「馬鐸」の意味・読み・例文・類語

ば‐たく【馬鐸】

  1. 〘 名詞 〙 馬装具の一種。扁円筒形内部に音を出す舌(ぜつ)が下がっている。中国、朝鮮に起源し、日本の銅鐸はこの影響と考えられ、古墳副葬品として青銅製の大形のものが出土する。埴輪馬では胸繋に着装したものがみられる。馬鈴(ばれい)

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改訂新版 世界大百科事典 「馬鐸」の意味・わかりやすい解説

馬鐸 (ばたく)

馬につける円錐形ないしやや扁平な筒形の青銅製品で,内部に舌(ぜつ)を垂下し,頂部の鈕(ちゆう)によって馬の頸(くび)や胸に下げ,馬の歩みにつれて音を出す。筒の下縁が直線のものと弧形をなすものとがある。中国では馬鈴(ばれい)という。しかし単独で発見されると,犬,ヤギ,牛あるいはラクダなどに下げたものとの区別はできない。カフカス起源の馬鐸は,前8世紀のウラルトゥ遺物や,アッシリア壁画,浮彫に見られるように直線型であるが,東アジアで殷代から行われたのは多くが弧形型である。朝鮮の初期鉄器時代には両型式が用いられ,日本へは弥生時代にそれらが伝わった。しかし5~6世紀に朝鮮と日本で使われた馬鐸は,中国の三国・南北朝時代の弧形型の系統に属し,日本では扁平の度合を増し,弧が著しくなって片面だけに文様をつけ,高さ20cmばかりの大型になった。日本ではごくまれに金銅製がある。日本で馬鈴といえば球形あるいは楕円体の(すず)で,馬の胸や尻に下げたものをいう。ほかに馬具の鈴として,三繫(さんがい)に一定の間隔で固定したものや,鏡板,杏葉(ぎようよう),辻金具などにつけた鈴がある。
馬具
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「馬鐸」の意味・わかりやすい解説

馬鐸
ばたく

通常,馬の胸繋 (むながい。→三繋〈さんがい〉) につける装飾品,ならびに音を発する馬具。青銅製,扁円筒形で,形は銅鐸に似て内部に舌を有する。中国では殷代にその祖型がある。日本では古墳時代後期から知られるが,下縁が弧形で高さ 15cm内外,文様は珠文,格子文が片面にだけ鋳出されるのが普通である。

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