骨髄炎、化膿性関節炎(読み)こつずいえん、かのうせいかんせつえん(その他表記)Osteomyelitis, Pyogenic arthritis

六訂版 家庭医学大全科 「骨髄炎、化膿性関節炎」の解説

骨髄炎、化膿性関節炎
こつずいえん、かのうせいかんせつえん
Osteomyelitis, Pyogenic arthritis
(子どもの病気)

どんな病気か

 骨髄炎は骨髄の炎症で、関節炎は関節の炎症ですが、化膿性関節炎は細菌感染による関節炎をいいます。骨髄炎も通常は細菌感染によることが多いので、ここでは化膿性骨髄炎について述べることとします。

原因は何か

 原因となる菌は黄色ブドウ球菌が最も多く、体のほかの感染巣からの血行感染、病巣部付近の感染巣からの波及、開放(そう)切り傷やすり傷など)による外界からの直接感染などによるとされています。

症状の現れ方

 急性に発症した場合の症状は、病巣部の発赤、腫脹(しゅちょう)、熱感、疼痛がみられ、患肢を動かそうとしなくなります。加えて発熱悪寒(おかん)発汗、全身倦怠感(けんたいかん)、食欲不振などの全身症状がみられる場合もあります。

検査と診断

 診断には血液検査、X線検査、MRI検査などが行われますが、病巣部を穿刺(せんし)(針を刺す)してうみの貯留を確認し、細菌検査によって原因となる菌が同定されれば、診断は確定します。

治療の方法

 治療は原因となる菌に効果のある抗菌薬の投与排膿(はいのう)を行うことが重要です。排膿には、穿刺によって行う方法と手術で病巣部を切開する方法とがあります。合併症後遺症として成長が障害されたり、関節が硬くなったり動かなくなったりすることがあるので、早期発見、早期治療が望ましい病気です。しかし、時には骨肉腫(こつにくしゅ)などの骨腫瘍若年性関節リウマチなどとまぎらわしいことがあるので、そのような場合には整形外科専門医による的確な診断が必要になります。

病気に気づいたらどうする

 新生児乳幼児に発症する化膿性股関節炎はとくに的確な診断が難しく、そのうえ、早期に治療を開始しないと重大な後遺症を残す可能性があります。もちろんこの時期の子どもは痛いと言いませんし、股関節は体の表面から深いところにある関節なので、腫脹、熱感、発赤がわかりにくいため、診断は難しいです。お乳の飲みが悪い、不機嫌である、熱がある、おむつの交換時に激しく泣く、脚を動かさないという症状があれば、急いで整形外科を受診することがとても重要です。

湏藤 啓広

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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