日本大百科全書(ニッポニカ) 「高原都市」の意味・わかりやすい解説
高原都市
こうげんとし
高地都市、高山都市ともいう。南アメリカのアンデス山中のボゴタ(コロンビア、2518メートル)、キト(エクアドル、2812メートル)、クスコ(ペルー、3312メートル)、ラ・パス(ボリビア、3632メートル)などのアンデス高原諸都市のように、緯度からは北緯約5度~南緯20度の低緯度地域にあるが、こうした高度2500メートル以上の高地では気候が温和で農業生産にも適していて、都市が発達している。これらアンデスの諸都市は早くからその代表とされている。
東南アジアから南アジアにかけての熱帯地方では、マニラに対してバギオ(1510メートル)、コルカタ(カルカッタ)に対してダージリン(2248メートル)、デリーに対してシムラ(2160メートル)のように、低い平野では政治や産業経済の中心都市が発達しているが、それらの都市住民が夏の暑熱を避けるために近くの高地に移住するので、避暑地(避暑都市)が形成されることが少なくない。
日本の軽井沢や箱根、六甲山、高野山、それに中国江西(こうせい/チヤンシー)省の廬山(ろざん/ルーシャン)(1500メートル)などのように中緯度温帯地域にはあるが、観光や休養、宗教上の修行、また避暑などのために高地集落が発達している場合もある。またイラン高原のテヘラン(1191メートル)やチベット高原のラサ(3658メートル)のように高原面積が広大な場合には、相当な高地でも都市が発達している。
[浅香幸雄]