バギオ(読み)ばぎお(英語表記)Baguio

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バギオ」の意味・わかりやすい解説

バギオ(フィリピン)
ばぎお
Baguio

フィリピン、ルソン島北部ベンゲット州の都市。マニラの北250キロメートル、コルディエラ・セントラル(中央山脈)南部標高約1500メートルの高原に位置する。人口25万2386(2000)。20世紀初頭、アメリカ植民地政府の行政官や教員のための避暑地として設計された町で、山腹をジグザグに登る急な自動車道の建設には日本人契約労働者が貢献した。山岳地方の流通、教育の中心地、フィリピン随一の観光地で、ホテル、別荘が多い。第二次世界大戦末期、山下兵団の拠点となった。カンカナイ人の土地であったが、いまは低地から移住したイロカノ人が多い。北郊のトリニダード谷では戦前、日本人農家が高原野菜をつくっていた。

高橋 彰]


バギオ(台風)
ばぎお
baguio

フィリピンにおける台風の呼び名で、ルソン島北部のバギオ市に由来する。1911年7月14日、ルソン島北部に上陸した台風による豪雨洪水によってルソン島各地で大災害があり、このときバギオ市では24時間に1168ミリメートルという当時の世界記録降水量を記録した。

饒村 曜]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バギオ」の意味・わかりやすい解説

バギオ
Baguio

フィリピン,ルソン島西部,ベンゲット州にある高原都市。コルディエラセントラル山脈南西部,標高 1400mの高原上にあり,年平均気温約 18℃。マニラ北方 210kmにあり,自動車道で結ばれる。アメリカ領時代に夏季総督府がおかれ,避暑地として急速に発展して「夏の首都」と呼ばれるようになった。なだらかな起伏をもつ高台には,マツ林に囲まれた高級ホテル,別荘が立並ぶ。フィリピン陸軍士官学校,セント・ルイス大学がおかれている。周辺は産金地帯で,その商業中心地でもある。人口 18万 3000 (1990推計) 。

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