脈無病あるいは大動脈炎症候群ともいう。炎症のために動脈の狭窄や閉塞を起こす疾患。動脈壁が厚くなって内腔が狭くなったり,つまったりするため,脈がふれなくなり,ときに拡張して動脈瘤をつくることがある。大動脈とその分枝,ときには肺動脈も侵される。若い女性に多く,1908年高安右人が初めて報告した。頸動脈の狭窄では視力低下,めまい,立ちくらみ,頭痛が起こる。大動脈の狭窄(異型大動脈縮窄)では上半身の高血圧と下半身の低血圧がみられ,歩くとすぐ太ももが疲れ,少し休むと回復する。腎動脈狭窄では高血圧(腎血管性高血圧)を起こし,腹部の血管がつまると食後の腹痛を訴え,食欲が低下して体重が減少する。
多くの場合,薬物療法で軽快するが,20%程度は手術が必要で,動脈の閉塞部を代用血管でバイパスする手術が行われる。とくに高血圧はそのままにしておくと脳出血などによって死亡する危険が少なくない。
執筆者:三島 好雄
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…血管に炎症性あるいは増殖性の変化がおこる疾患は異質のグループからなり,あるものは原因もはっきりしていて,かなり一定した症状を呈する特異性疾患であり,他のものは原因もはっきりせず,症状も千差万別である。 血管炎という概念は広いカテゴリーで,大動脈炎症候群(高安病)やバージャー病,あるいはベーチェット病にみられる血管病変のような大型の血管炎から,結節性動脈周囲炎,悪性関節リウマチ,紅斑性狼瘡(ろうそう),強皮症などの膠原(こうげん)病,限局性の壊死性動脈炎,結節性紅斑,硬結性紅斑,非化膿性皮下脂肪組織炎などにみられる小型の血管炎まで含まれ,これらの疾患ではいずれも血管炎が病因上重要な役割を演じているものと考えられる。また,血小板非減少性紫斑病,とくに類アナフィラキシーあるいはアレルギー性紫斑病では,病理組織学的に皮膚や臓器の小血管の壊死性病変が特徴とされている。…
…また,大きな動脈瘤の場合には,拡張期にも雑音を聴取できることがある。閉塞性動脈硬化症や大動脈炎症候群(高安病)でも,血管に限局的な狭窄がある場合,その部位で収縮期雑音が聴取される。前者では,頸動脈,大腿動脈,腸骨動脈などが好発部位で,大動脈で聴取されることもある。…
※「高安病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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