日本大百科全書(ニッポニカ) 「高木貞二」の意味・わかりやすい解説
高木貞二
たかぎさだじ
(1893―1975)
心理学者。大阪市の生まれ。1918年(大正7)東京帝国大学文科大学哲学科(心理学専修)卒業。同窓に矢田部達郎(やたべたつろう)がいる。1920年コーネル大学大学院に入学、E・B・ティチナーに学ぶ。翌1921年米、欧の諸大学を歴訪して帰国。東京帝国大学の教養学部長などを歴任。退官後は東京女子大学学長となる。1958年(昭和33)学士院会員。また、能力開発研究所所長、日本心理学会会長および日本動物心理学会会長として日本心理学の指導的地位にあった。ヤマガラを用いたいくつかの研究をはじめ知覚に関する理論的論文が多く、日本におけるゲシュタルト心理学の最初の紹介者でもあり、また進学適性検査の実施にも関係したが、その明晰(めいせき)な思考と温かい人柄によってつねに成功を収めた。
[宇津木保]