高齢者講習(読み)こうれいしゃこうしゅう

日本大百科全書(ニッポニカ)「高齢者講習」の解説

高齢者講習
こうれいしゃこうしゅう

自動車運転免許の更新期間満了時の年齢が70歳以上のドライバーに義務づけられた講習。視力や反射など身体機能の低下に加え、認知症の増加で高齢運転者による交通事故が増えており、高齢者本人に自分の運転能力や技能水準を自覚してもらう目的で実施している。70~74歳は「合理化高齢者講習」(2時間、受講料4650円。金額は2017年7月時点、以下同様)を受講。75歳以上は、違反行為の有無や認知機能の低下状態に従って、認知機能検査(通常と臨時のいずれか)と高齢者講習(合理化と高度化のいずれか)を受講する義務があり、認知症と診断されれば免許取消しか停止処分となる。対象者は、運転免許試験場や民間教習所で受講する。ビデオと講習で交通規則や安全運転に関する知識を再確認し、動体視力や夜間視力を測定するほか、実際に車を運転し指導員から運転技術について助言を受け、危なかった点などについて話し合う。更新期間満了の半年前から受講できる。高齢者講習は1980年代後半に全国で、任意参加で始まったが、1997年(平成9)の道路交通法改正で75歳以上に義務づけられ、2001年(平成13)改正で70歳以上に引き下げられた。2016年の受講者は全国で約253万人(75歳以上は約158万人)。

 75歳以上は、高齢者講習の前に、判断力や記憶力などを判定する「認知機能検査」(30分、650円)の受講が2009年6月から義務づけられた。同検査で認知症のおそれがある人(第1分類)のうち、臨時適性検査で認知症とされた場合や医師に認知症と診断されれば、免許取消し・停止処分となる。認知機能低下のおそれがある人(第2分類)や第1分類であるが認知症でないと診断された人は、ドライブレコーダーの運転記録に基づいて個人指導を受ける「高度化高齢者講習」(3時間、7550円)を受講する。認知機能低下のおそれがない人(第3分類)は「合理化高齢者講習」を受ける。75歳以上で逆走、信号無視、一時不停止、通行禁止違反などの交通違反行為(全18項目)があった人は「臨時認知機能検査」(30分、650円)の受講が義務づけられた(2017年3月)。同検査で第1分類と判断され、医師らに認知症と診断されれば、免許取消し・停止処分となる。同検査で認知機能が以前より悪化した人はドライブレコーダーの運転映像記録に基づいて個人指導などを受ける「臨時高齢者講習」(2時間、5650円)を受講する。

 なお自動車の運転を継続する意思がない場合、運転免許の自主返納を行う。自主返納者には、本人確認書類として利用できる「運転経歴証明書」が交付され、自治体によってはバスやタクシーの割引などの優遇策を受けられる。

[矢野 武 2017年9月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉「高齢者講習」の解説

こうれいしゃ‐こうしゅう〔カウレイシヤカウシフ〕【高齢者講習】

70歳以上の人が自動車運転免許証を更新する際に受ける講習講義・運転適性検査・実車講習を通して、加齢に伴う身体機能の変化を自覚してもらい、必要な助言指導を行う。
[補説]75歳以上の人は、高齢者講習の前に認知機能検査を受けることが義務付けられている。

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