(読み)カモジ

デジタル大辞泉 「髢」の意味・読み・例文・類語

か‐もじ【×髢/髪文字】

《「か」は「かみ(髪)」「かずら(髢)」などの頭音》
(髢)婦人が髪を結うとき添える毛。そえがみ。そえげ。いれがみ。
髪をいう女房詞。おかもじ
和船舳先へさきに、房のように垂れている飾り。さがり。
[類語]かつら入れ髪ウイッグヘアピースエクステンション

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普及版 字通 「髢」の読み・字形・画数・意味


13画

(異体字)
18画

[字音] テイ・テキ
[字訓] かもじ・そる・のぞく

[説文解字]

[字形] 形声
正字はに作り、易(えき)声。易に剔(てい)の声がある。髢はその或(ある)体の字で、也(や)声。也に地(ち)・他(た)の声がある。〔説文〕九上に「(かもじ)なり」とあり、そえ髪をいう。〔詩、風、君子偕老〕に「髮(しんぱつ)雲の如し 髢を(いさぎよ)しとせず」とあり、ゆたかな黒髪の美しさをたたえる句である。

[訓義]
1. かもじ、そえ髪。
2. かもじのようなたれ髪、長い髪。
3. ・剔と通じて、そる、のぞく。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕髢 カミ

[語系]
髢dyek、thyekは声義近く、髪(ていはつ)したものをまた仮髪(かもじ)として用いる。

[下接語]
施髢・堕髢・髪髢・

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改訂新版 世界大百科事典 「髢」の意味・わかりやすい解説

髢 (かもじ)

加文字,髪文字とも書く。〈かみ〉あるいは〈かずら〉の語頭に〈文字〉をつけ加えてできた語。髪を結う場合に自毛の足りない部分を補足する入毛のこと。古代中世には女性の垂髪に用いられ,《源氏物語》や《枕草子》などに記されている。近世になり女髷(おんなまげ)が発達し,前髪,髷,鬢(びん),髱(たぼ)の構成による複雑な髪形が結われるようになると,かもじの種数も多くなった。髷の根に足す根かもじをはじめ,鬢や髱に部分的なかもじを使うようになった。鬢のかもじは髪毛を1列に並べて,蓑の形に似ているところから,〈びんみの〉と呼ばれた。かもじ用の髪毛は,古くは髪をすいたときに抜ける落毛または切髪を集めて加工されたが,現在は長い毛や直毛が少なく,東南アジア,韓国など国外に求めている。
髪形
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百科事典マイペディア 「髢」の意味・わかりやすい解説

髢【かもじ】

加文字,髪文字とも書く。結髪用の入れ毛。平安・鎌倉時代は【かつら】といい,宮廷女性に用いられたが,江戸中期以後女性の髪形が複雑になるに従い,技巧的な小道具一つとして発達した。落毛,切髪を加工したもの。根髢,鬢(びん)みの,ばら毛などの種類があった。→ヘアピース

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