垂髪(読み)すいはつ

  • ▽垂髪
  • すいほつ
  • すべしがみ
  • すべらかし
  • たれがみ
  • 垂=髪
  • 垂▽髪

デジタル大辞泉の解説

結いあげずに垂らしたままの髪。すべらかし。たれがみ。また、転じて、幼児童子
で、菩薩(ぼさつ)像などにみられるに垂れた髪。
女性の髪形の一。前髪を膨らませ、後頭部でそろえて束ね、背中に長く垂らしたもの。江戸初期まで成人の女子の髪形であったが、のちには高貴な婦人の正式な髪形となった。さげがみ。すべしがみ。すべしもとどり。おすべらかし。
すべらかし」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

女性の髪形の一種。下げ髪ともいう。平安時代以降、高貴な婦人の間では、髪の長さが自分の身丈より30センチメートルも長いのが普通で、『大鏡』には、牛車(ぎっしゃ)に乗って毛先が母屋(おもや)の柱に引っかかったほどの長さの女御(にょうご)がいたことが記されている。庶民の髪も、当時は垂髪であったが、その長さが腰くらいであったのは、仕事をするのに不便であったことに起因する。この垂髪は明治以降、宮中女官の間では「おすべらかし」といって、儀式の際の髪形として用いられた。その形は、鬢(びん)を張り出して誇張されたところに特色がある。また民間では、明治に入って「お下げ」と称して、年齢5、6歳から中学卒業ごろまでの子供の髪形であった。しかし、「おかっぱ」という切り髪が大正末期にはやりだしてから、しだいに衰退していった。

[遠藤 武]


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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 髪をうしろにたらすこと。また、その髪やその髪型。たれがみ。すべらかし。
※玉葉‐文治元年(1185)一〇月七日「来月可垂髪云々」
※曾我物語(南北朝頃)四「上洛し受戒をし給ふべきなれば、すいはつにて上り給はば」 〔後漢書‐呂強伝〕
② たれがみの子ども。転じて、幼児をいう。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※吾妻鏡‐元暦元年(1184)一一月六日「垂髪吹横笛、梶原平次付之」 〔後漢書‐鄧禹伝〕
〘名〙 仏語。仏像で菩薩像などの肩にたれた髪。
〘名〙 女性の髪型の一つ。下げ髪の異称。江戸初期まで、成人女性一般の髪型であったが、のち、高貴の女の正式の髪型となった。すべしもとどり。すべらかし。
〘名〙 幼児のまだ結いあげないでたれ下げた髪。また、その髪型。たれ下げた髪。おかっぱ。すいはつ。
※今昔(1120頃か)三一「垂髪にて、栗毛なる草馬を乗物にして」

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世界大百科事典内の垂髪の言及

【髪形】より

…法隆寺宝物として伝わる仏像や伎楽面,正倉院宝物の《鳥毛立女屛風》,薬師寺に伝わる仏画《吉祥天女像》などによると,女は頭上に高い髷を結いあげるか,左右に二つの髷をのせている。また,大きくふくらませた一種の垂髪形式など,身分や年齢差が髪形に表れるようになった。これらを高髻(こうけい)または宝髻(ほうけい),頭上二髻(ずじようにけい),垂髪(すいはつ)などの名称で分類している。…

※「垂髪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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