女性の髪形の一種。下げ髪ともいう。平安時代以降、高貴な婦人の間では、髪の長さが自分の身丈より30センチメートルも長いのが普通で、『大鏡』には、牛車(ぎっしゃ)に乗って毛先が母屋(おもや)の柱に引っかかったほどの長さの女御(にょうご)がいたことが記されている。庶民の髪も、当時は垂髪であったが、その長さが腰くらいであったのは、仕事をするのに不便であったことに起因する。この垂髪は明治以降、宮中女官の間では「おすべらかし」といって、儀式の際の髪形として用いられた。その形は、鬢(びん)を張り出して誇張されたところに特色がある。また民間では、明治に入って「お下げ」と称して、年齢5、6歳から中学卒業ごろまでの子供の髪形であった。しかし、「おかっぱ」という切り髪が大正末期にはやりだしてから、しだいに衰退していった。
[遠藤 武]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…法隆寺宝物として伝わる仏像や伎楽面,正倉院宝物の《鳥毛立女屛風》,薬師寺に伝わる仏画《吉祥天女像》などによると,女は頭上に高い髷を結いあげるか,左右に二つの髷をのせている。また,大きくふくらませた一種の垂髪形式など,身分や年齢差が髪形に表れるようになった。これらを高髻(こうけい)または宝髻(ほうけい),頭上二髻(ずじようにけい),垂髪(すいはつ)などの名称で分類している。…
※「垂髪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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