鬼も十八(読み)おにもじゅうはち

精選版 日本国語大辞典 「鬼も十八」の意味・読み・例文・類語

おに【鬼】 も=十八(じゅうはち)[=十七(じゅうしち)

咄本醒睡笑(1628)五「鬼がいふ、『ここな人は昼なるに』と。鬼も十八といふ事あれば、おくゆかしや」

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ことわざを知る辞典 「鬼も十八」の解説

鬼も十八

醜い者や武骨な者も、年頃になれば相応に美しくなり、また、男女の情を解するようになる。一八歳頃の女性は娘盛りである。

[使用例] ふりかえッて見れば……お勢で。年は鬼もという十八の娘盛り、うりざねがおで富士額、いきしにを含む眼元の塩にピンとはねた眉でりきを付け、壺々つぼつぼぐちしめわらいにも愛嬌をくくんで〈略〉せいスラリとして風に揺ゆらめく女郎花おみなえし[二葉亭四迷*浮雲|1887~89]

[使用例] 折から門のかたより足音高くドシドシと入り来るは本家の娘お代さん。〈略〉どんぐりまなこに団子っ鼻、赤ら顔に縮れっだいひょうまんの大女なれども鬼も十八の娘盛りとて薄黒い顔に白粉おしろいコテと塗り、太き地声を細く殺して「伯母おばさん今日は」と妙に気取って歩み来る。[村井弦斎*食道楽|1903]

[解説] 江戸初期から現在までよく使われることわざで、「鬼も十八」の後に、「番茶ばな」(古くは「山茶も煮端」)や「じゃ二十はたち」と続けることもあります。「番茶も~」は、品質は劣る茶ですが、いれたてはおいしい意。「蛇も二十」は、鬼と同様に怖い蛇を引き合いに、十八と語末が同じ「ち」で脚韻をふんでいます。いずれも、前半のことわざと同じ趣旨を繰り返し、軽いおかしみを添えたものといえるでしょう。
 なお、「十八」は数え年の一八歳ですが、明治時代頃までは「十七」とする例も少なからずあり、厳密に何歳というより年頃の女性と解してよく、かつては「十七、八は嫁入り盛り」といわれていました。また、今日では、もっぱら女性についていわれますが、江戸時代には男性に対して使われることもありました。

中国〕女大十八変(娘時代は十八変化)

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