地声(読み)ジゴエ

デジタル大辞泉 「地声」の意味・読み・例文・類語

じ‐ごえ〔ヂごゑ〕【地声】

その人が生まれつき持っている声。持ち前の声。「地声が大きい」
音楽で、裏声に対して、自然な発声法で出す声。→裏声1
[類語]肉声音声発声美声悪声金切り声だみ声どら声胴間声鼻声裏声小声猫撫で声声色人声大声大音声音吐蛮声がらがら声しゃがれ声しわがれ声塩辛声ハスキーボイス風邪声含み声作り声嬌声奇声悲鳴声を上げる声を大にする声を張り上げる声を尖らす声を嗄らす声を忍ばせる声を潜める声を荒らげる声を落とす声を掛ける声を殺す声を揃える声を立てる声を呑む声を励ます声を振り絞る

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精選版 日本国語大辞典 「地声」の意味・読み・例文・類語

じ‐ごえヂごゑ【地声】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 生まれつきの声。もちまえの声。
    1. [初出の実例]「空ゆかは地声に鳴な郭公〈正利〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)五)
  3. 邦楽で、平素話し声と同じ声でうたう声。
    1. [初出の実例]「予地声にて音曲八九番被諷了」(出典:言継卿記‐永祿八年(1565)一二月一七日)
  4. ( 「裏声」に対していう ) 音楽で、自然な発声法で出しうる声。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地声」の意味・わかりやすい解説

地声
じごえ

人間の音声の分類用語。生理学,音声学,音楽学などでその概念定義に差がある。普通,人声の音域のうち低音域の胸声を意味し,高音域の頭声すなわち裏声に対するものとされるが,胸声,頭声とも共鳴の場所は同じである。地声は声帯筋の緊張により起きるもので,声帯は全長全幅にわたり振動する。これに対して裏声は輪状甲状筋の収縮のために輪状甲状関節が移動し,声帯は前後に引張られて声帯全長の一部のうち内縁の一部が振動する。ただし,音楽的な発声においては,地声と裏声の境を判然としないように移行することもあり,その境の部分を中声ともいう。また地声は音楽としての発声 (歌声) によらない会話などの発声 (話し声) をいうこともあり,さらに,男声において特殊な発声による特に高音域の裏声に対して,単に普通の音楽的な発声をいうこともある。その他洋楽のベルカントの発声に対して邦楽的な発声をさしていうこともある。

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世界大百科事典(旧版)内の地声の言及

【声】より

…声を高くしていくとき,ある範囲の高さまでは声帯の内部にある声帯筋もだんだんに緊張を増して,声帯も比較的厚く,声帯も正中線で十分に閉じる。この範囲の声を〈地声〉という。しかし,ある高さを超えると声帯筋の働きが弱まり,声帯は急に薄く引き伸ばされるようになって閉じ方も不完全になる。…

【発声】より

…【井形 ちづる】
[日本]
 日本音楽の歌唱における発声法は,種目による差異が大きく,まだ総合的に体系づけられてはいない。一般に,洋楽のベル・カント唱法に比すれば,話し声に近い〈地声〉によるものとされ,高音域の特別な発声を〈裏声〉と称することなどが行われている。しかし,実際には,たとえば能などにおいては,せりふ部分でさえも,歌唱部分と発声法の相違は少なく,しかも普通の話し声とは,まるで異なる発声法によっている。…

※「地声」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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