鶴田知也(読み)ツルタトモヤ

デジタル大辞泉 「鶴田知也」の意味・読み・例文・類語

つるた‐ともや【鶴田知也】

[1902~1988]小説家福岡の生まれ。雑誌文芸戦線」に参加し、プロレタリア文学初期に活躍。アイヌ独立戦争の英雄伝コシャマイン記」で芥川賞受賞。他に「メシュラム記」「ハッタラはわが故郷」など。

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20世紀日本人名事典 「鶴田知也」の解説

鶴田 知也
ツルタ トモヤ

昭和期の小説家 「農業農民」編集長。



生年
明治35(1902)年2月19日

没年
昭和63(1988)年4月1日

出生地
福岡県小倉市

学歴〔年〕
東京神学社神学校〔大正11年〕中退

主な受賞名〔年〕
芥川賞(第3回)〔昭和11年〕「コシャマイン記」,小学館文学賞(第4回)〔昭和30年〕「ハッタラはわが故郷

経歴
植村正久の神学校を中退後、大正12年名古屋に移り、葉山嘉樹の指導の下、労働組合運動に従事する。昭和2年に労農芸術家連盟に加入し、機関誌「文芸戦線」同人となる。以後、プロレタリア作家の道を歩み、11年にアイヌ民族の運命を描いた「コシャマイン記」で第3回芥川賞受賞、その神謡風の文体で独自の領域を拓いた。戦後は酪農業の専門家として生きたが、28年の「社会主義文学」の発行や、29年に日本農民文学会結成にかかわるなど、農民文学、児童文学者としても活躍。39年より農業問題研究会議事務局長、43年から「農業・農民」編集長を務めた。著書に「鶴田知也作品集」(新時代社)「鶴田知也作品選」(非売品)の他、「百草百木誌」「野草譜」などの画文集がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鶴田知也」の意味・わかりやすい解説

鶴田知也
つるたともや
(1902―1988)

小説家。福岡県生まれ。東京神学校(現東京神学大学)中退後、北海道、名古屋を転々とし労働運動に従事した。『文芸戦線』同人を経て、1935年(昭和10)伊藤永之介らと同人雑誌『小説』を創刊し、アイヌ独立戦争の英雄を描いた『コシャマイン記』を同誌に発表、翌年芥川(あくたがわ)賞を受賞した。戦後は酪農問題の専門家として活躍し、64年(昭和39)「農業問題会議」を結成して事務局長となる。『野草譜』などの画文集も出版している。

[神谷忠孝]

『『鶴田知也作品集』全1巻(1975・新時代社)』『小笠原克著「鶴田知也『コシャマイン記』」(『近代北海道の文学』所収・1973・日本放送出版協会)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鶴田知也」の解説

鶴田知也 つるた-ともや

1902-1988 昭和時代の小説家。
明治35年2月19日生まれ。昭和2年「文芸戦線」の同人となる。10年伊藤永之介らと「小説」を創刊し「コシャマイン記」を発表,翌年芥川賞を受賞。第二次世界大戦後の29年和田伝らと日本農民文学会を結成。30年児童文学「ハッタラはわが故郷」で小学館児童文化賞。昭和63年4月1日死去。86歳。福岡県出身。東京神学社神学校中退。

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367日誕生日大事典 「鶴田知也」の解説

鶴田 知也 (つるた ともや)

生年月日:1902年2月19日
昭和時代の小説家。「農業・農民」編集長
1988年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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