英雄伝(読み)えいゆうでん(英語表記)Bioi Parallēloi

  • 英雄伝 Bioi parallēloi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ギリシアの倫理学伝記作家プルタルコス伝記集。2世紀の初め頃成立。原名は『対比列伝』のギリシアの傑出した政治家や軍人生涯を物語り,これに類似するローマ人物の伝記を並べて両者を比較する。このような対比が 23組と,ほかに単独の伝記が4編,計 50人の伝記から成る。

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百科事典マイペディアの解説

プルタルコス主著。ギリシアとローマの偉人たち50人の伝記を,それぞれ2人ずつ対比して並べたもの。原題ビオイ・パラレオイは〈対比列伝〉の意。伝記として史実に忠実ならんとするよりは,それぞれの人物の性格を浮彫にする挿話に力が注がれている。記述はやや雑然としており,文章も名文ではないが,幾多の人間像と,くめども尽きぬ教訓により,後世に与えた影響は大きい。シェークスピアはこの作品の英訳を利用し,《ジュリアス・シーザー》等の戯曲を書いている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ギリシアの著作家プルタルコスの代表的な伝記作品。日本では一般に《英雄伝》の名で親しまれているが,原題の意味からは《対比列伝》の訳語のほうが正確である。取り上げられているのも必ずしも英雄と呼ぶべき人物ばかりではない。歴史上の,あるいは伝説上の偉大な人物をギリシアとローマから1対ずつ選んで並べ,たとえばギリシアのテセウスとローマのロムルス,アレクサンドロスとカエサルデモステネスキケロリュクルゴスヌマというように46人を対比して扱っている。

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精選版 日本国語大辞典の解説

[1] 〘名〙 英雄の伝記。〔王建‐早秋過龍武李将軍書斎詩〕
[2] 古代ギリシアの伝記作家プルタルコスの著「対比列伝」の通称。二三組四六人と四人の独立伝記からなる。

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世界大百科事典内の英雄伝の言及

【伝記】より

…まず歴史という母胎ではぐくまれ,やがてひとり立ちするに至ったものが伝記だともいえる。中国の《史記》では,列伝が不可欠の構成要素をなしており,プルタルコスの《英雄伝》は,ギリシア,ローマの史上有名な人物を2人ずつ組み合わせた対比列伝であった。日本の《古事記》《日本書紀》でも中核をなすのは天皇の列伝であり,平安後期成立の《大鏡》以降の,いわゆる鏡物の国文の歴史物語も列伝体を軸としており,《栄華物語》には〈藤原道長伝〉という副題をふることも許されよう。…

【プルタルコス】より

…数多くの作品を書いたと伝えられるが,現存する作品で彼の真作と考えられるものは80に満たない。しかしながらその中には有名な《英雄伝》の大作があり,そのほかにも《倫理論集(エティカ,モラリア)》と呼ばれる膨大な著作集がある。後者は道徳ばかりでなく,政治,宗教,文学,音楽など広い範囲にわたって扱った著述で,その思想は深遠なものではないが堅実であり,豊かな教養を示していることからルネサンス期を中心として後世への影響が大きい。…

※「英雄伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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