ツメレンゲ(読み)つめれんげ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツメレンゲ」の意味・わかりやすい解説

ツメレンゲ
つめれんげ / 爪蓮華
[学] Orostachys japonica (Maxim.) Berger

ベンケイソウ科(APG分類:ベンケイソウ科)の一稔性(ねんせい)多肉植物。多年草だが、開花すれば枯死する。花序を出すまではロゼットで数年を過ごす。ロゼットは多肉質で先端につめ状の突起がある多数の披針(ひしん)形の葉からなり、全体に白色の粉や紅色を帯びることが多い。10~11月、大きなロゼットの中心から多数の葉と花を密生した肉穂状の花序が伸び出る。花は白色で五数性で葉状包葉をもつ。子房は離生し、柄がある。本種によく似るチャボツメレンゲMeterostachys sikokianus (Makino) Nakaiも多肉質でつめのある葉からなるロゼットをつくるが、花序は集散状で、子房は柄がなく、系統を異にする。

[大場秀章 2020年3月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツメレンゲ」の意味・わかりやすい解説

ツメレンゲ(爪蓮華)
ツメレンゲ
Orostachys erubescens

ベンケイソウ科の多年草で,アジア東部の暖温帯に分布する。日本では関東地方より西の山地の岩上や,人家の屋根の上などに生える。多肉質の葉が茎に密生し,上部の葉は細長い披針形で先端は鋭くとがり,下部の葉はへら形で先にとげがある。9~10月頃,長さ 20cmほどの花茎を伸ばし,白色5弁の小花を総状花序に密につける。花には淡緑色の小さな萼片と長さ 5mmほどの白い花弁が各5枚ある。おしべは 10本で,葯 (やく) は赤い。開花した株は枯れ,下部から側枝を出して子苗をつくる。和名は葉の形状が獣の爪に似ているためという。

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百科事典マイペディア 「ツメレンゲ」の意味・わかりやすい解説

ツメレンゲ

イワレンゲ

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世界大百科事典(旧版)内のツメレンゲの言及

【エケベリア】より

…メキシコ産で葉が高度に多肉化したパキフィツム属Pachyphytum11種とグラプトペタルム属Graptopetalum12種などもエケベリア同様に観賞用に栽培される。日本産のイワレンゲOrostachys iwarenge (Makino) HaraやツメレンゲO.japonicus (Max.) Berg.も植物体は似るが,花序は頂生し,肉穂状で花が白い。ロゼット状の葉をもつベンケイソウ科は,ほかに,散房あるいは円錐花序を頂生し,花弁数が6~三十数枚のセンペルビブム属Sempervivumとアエオニウム属Aeoniumがある。…

※「ツメレンゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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