矢田部達郎(読み)やたべたつろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「矢田部達郎」の意味・わかりやすい解説

矢田部達郎
やたべたつろう
(1893―1958)

心理学者。東京に生まれる。東京帝国大学文科大学卒業。ソルボンヌ大学(パリ大学)に留学。京都大学教授や早稲田(わせだ)大学教授を歴任。矢田部心理学の体系は『心理学序説』(1950)に述べられており、フランス系の思想と第二次世界大戦後のアメリカ心理学とを巧みに総合した同時代の代表的体系書といわれている。そのほか学位論文『意志心理学史』(1943)、『思考心理学史』(1948)、『思考心理学』全4巻(1948~1959)、『ウェルナァによる精神の発達』(1946)などの文献抄録に優れた著作が多い。また『矢田部・ギルフォード人格目録』(『Y‐Gテスト』)は、ギルフォードのテストをもとにして矢田部らが日本版をつくったものである。

[宇津木保]

『『矢田部達郎著作集』全10巻(1983・培風館)』

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20世紀日本人名事典 「矢田部達郎」の解説

矢田部 達郎
ヤタベ タツロウ

昭和期の心理学者 早稲田大学教授。



生年
明治26(1893)年10月24日

没年
昭和33(1958)年3月24日

出生地
東京市

学歴〔年〕
東京帝大文科大学哲学科心理学専攻〔大正7年〕卒

学位〔年〕
文学博士〔昭和19年〕

経歴
ドイツ、フランスに学び、静岡高校教授、九州帝大助教授、同教授、昭和19年京都帝大教授を歴任。31年定年退官、32年早稲田大学教授。この間佐久間鼎との共同研究「奥行知覚における俯角意義について」は日本での知覚恒常性の実験的研究の端緒となった。また性格テスト“矢田部・ギルフォード性格検査”の作成で知られる。著書は他に「心理学序説」「意志心理学史」「思考心理学史」「思考心理学」(全4巻)「動物の思考」、訳書にブローデル・クリスチアンゼン「認識論と認識の心理学」、E・カッシラー「神話」「認識」「言語」、H・ウェルナー「精神の発達」など。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「矢田部達郎」の意味・わかりやすい解説

矢田部達郎
やたべたつろう

[生]1893.10.24. 東京
[没]1958.3.24. 東京
心理学者。東京帝国大学卒業後,フランス,ドイツに留学 (1920~24) 。静岡高校,九州帝国大学教鞭をとり,1944年京都帝国大学教授,退官後早稲田大学教授。ゲシュタルト理論とフランス心理学の影響を受け,矢田部心理学ともいうべき独自の体系を樹立,ことに意志および思考研究の総合的著作は著名。主著『意志心理学史』 (1942) ,『動物の思考』 (45) ,『思考心理学史』 (48) ,『心理学序説』 (50) ,『思考心理学』 (4巻,45~59) 。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「矢田部達郎」の解説

矢田部達郎 やたべ-たつろう

1893-1958 昭和時代の心理学者。
明治26年10月24日生まれ。矢田部良吉の4男。ソルボンヌ大に留学後,九州帝大教授をへて昭和19年京都帝大教授,32年早大教授。矢田部・ギルフォード性格検査を考案した。昭和33年3月24日死去。64歳。東京出身。東京帝大卒。著作に「心理学序説」など。

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367日誕生日大事典 「矢田部達郎」の解説

矢田部 達郎 (やたべ たつろう)

生年月日:1893年10月24日
昭和時代の心理学者。早稲田大学教授
1958年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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