山川 世界史小辞典 改訂新版 「12世紀ルネサンス」の解説
12世紀ルネサンス(じゅうにせいきルネサンス)
Renaissance of the 12th century
西欧の12世紀における知の復興運動のこと。シャルトルやパリなどの司教座付属学校における自由学芸教育の活性化から始まった。自由学芸への関心が高まった第一の理由は,11世紀後半以降,都市や国家,また教会において,文書による統治システムが確立し,ラテン語の文書作成者の需要が増したことにある。さらに世俗社会で,ローマ法が法の典拠として用いられるようになると,ローマ法学への関心が高まり,ボローニャ大学などで法学教育が盛んになった。教会でも,ローマ法にならって教会法が体系化され,教会法学もこの時期から発展した。またグレゴリウス改革以降の教会改革の潮流から,聖書や教父の著作を体系的に理解しようとして,神学も12世紀に発展した。こうした西欧の内部で始まった知的復興は,同時代のスペインやシチリアにおいて活発になされたギリシア語やアラビア語の文献のラテン語翻訳が流入すると,さらに大きく飛躍することになった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報