六訂版 家庭医学大全科 「2型糖尿病の治療」の解説
2型糖尿病の治療
2がたとうにょうびょうのちりょう
Treatment for Type 2 diabetes
(代謝異常で起こる病気)
治療の原則
2型糖尿病は自覚症状に乏しいことが多いのですが、症状の有無にかかわらず適切な治療が必要です。
治療の第1の目的は、糖尿病の代謝異常に伴って起こってくる種々の合併症の発生を予防することです。そのうえで、健康な人と変わらない生活の質(QOL)を維持し、健康な人と変わらない寿命を確保することが最終的な目標になります。
糖尿病は慢性の病気で、完全に治ることはほとんどありません。定期的な受診をまず心がけましょう。治療の中断は、慢性合併症を起こしやすくする大きな原因になります。
2型糖尿病は、食べすぎ、運動不足、ストレスなどの生活習慣(ライフスタイル)の乱れと、その結果起こってくる肥満が、その発症および病態に強く関係していると考えられています。これらは主にインスリンのはたらきを悪くし、血糖上昇などの代謝異常を招きます。
したがって、通常の2型糖尿病の治療としてまず行うのは、食事療法、運動療法を含めたライフスタイルの改善、および肥満がある場合にはその解消です。それで不十分な場合に薬物療法が追加されます。
また、ライフスタイルの改善のためには、患者さん自身が糖尿病をよく理解し、進んで治療を継続する意欲をもつことが重要です。そのために行われる糖尿病教室、糖尿病の教育入院などの糖尿病患者教育も、糖尿病の治療に大切な役割をもっています。
血糖コントロールの指標としてはHbA1C(ヘモグロビン・エーワンシー)を重視し、糖尿病網膜症や糖尿病腎症などの細小血管症の発症予防や進展の抑制には、一般的にはHbA1C7.0%未満を目指すようにします(表10)。さらに、体重、血圧、血清脂質値(コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールなど)についても、良好な数字に近づけるようにします。
粟田 卓也
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報