九仞の功を一簣に虧く(読み)キュウジンノコウヲイッキニカク

デジタル大辞泉 「九仞の功を一簣に虧く」の意味・読み・例文・類語

九仞きゅうじんこう一簣いっき

《「書経」旅獒から》高い山を築くのに、最後もっこ1杯の土が足りないために完成しない。長い間努力も最後の少し過失からだめになってしまうことのたとえ。
[補説]「簣」は、もっこ、「虧」は、欠に同じ。「九仞の功を一気に虧く」と書くのは誤り。

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精選版 日本国語大辞典 「九仞の功を一簣に虧く」の意味・読み・例文・類語

きゅうじん【九仞】 の 功(こう)を一簣(いっき)に虧(か)

  1. ( 「書経‐旅獒」の「不細行、終累大徳、為山九仞、功虧一簣」より、非常に高い築山をきずくときに、最後にたった簣(もっこ)一杯の土が足りないだけでも完成しない意から ) 長い間の努力も最後のほんのちょっとの手違いから失敗に終わってしまうことのたとえ。
    1. [初出の実例]「所謂九仭の功を一簣にかくものにて積年の辛労徒ごとと成らん」(出典:小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉四)

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故事成語を知る辞典 「九仞の功を一簣に虧く」の解説

九仞の功を一簣に虧く

長い間、努力してきたことが、あとわずかのところで失敗に終わってしまうことのたとえ。

[使用例] もう少しと云うところで今度も細君は助かってしまったのです。夫の心になってみれば、九仞の功を一簣に虧いた、―――とでも云うべきでしょう[谷崎潤一郎途上|1920]

[由来] 「書経りょごう」に出て来ることばから。紀元前一一世紀ごろ、周王朝が樹立されたときのこと。武王の補佐役が、武王に対して、政治を怠けることがないよう、戒めた文章の中に、「山をつくるに九仞なるも、功を一簣に虧く(九仞の盛り土を造るときに、最後のもっこ一杯分を残してやめてしまっては、造り上げたという功績は得られない)」とあります。「九仞」とは、当時の尺度で、約一八メートル。「簣」は、土などを運ぶための道具。もっこのことです。

〔異形〕功を一簣に虧く。

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ことわざを知る辞典 「九仞の功を一簣に虧く」の解説

九仞の功を一簣に虧く

九仞もの高い築山をきずくとき、最後のもっこ一杯の土を運べば完成するところまできても、そこで止めてしまっては完成しない。長い間の努力も最後のほんのわずかな失敗によってむだになってしまうことのたとえ。

[使用例] 精二氏の短篇には、往々九仞の功を一箕に欠いたような、遺憾を感じさせるものがあった[芥川龍之介*大正八年度の文芸界|1920]

[解説] 「書経―旅獒」にあることばから。「仞」は中国周代の尺で八尺(約一・八メートル)、「簣」は土を運ぶ竹かご、もっこ。最後の詰めが大切であることをいうことわざですが、同じく「九仞」「一簣」を使って、小さな努力の積み重ねが大切であることをいうことわざに「九仞の山も一簣の土より功を成す」があります。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「九仞の功を一簣に虧く」の意味・わかりやすい解説

九仭の功を一簣に虧く
きゅうじんのこうをいっきにかく

「仭」は高さや深さの単位で「ひろ」に相当し、中国、周代の尺度では8尺(約1.8メートル)とも、7尺、4尺などともいう。「簣」はもっこ(畚)のこと。9仭に及ぶほどの高い山を築き上げるにも、最後の一もっこの土を欠いたのでは完成しないとの意で、長年の努力もたった一つの失敗によって不成功になってしまう、ということのたとえ。『書経』「旅獒(りょごう)篇」に、「夙夜(しゅくや)(朝から夜まで)勤めざれば、成ること罔(な)し。細行を矜(つつし)まざれば、終(つい)に大徳を累(わざわい)す。山を為(つく)る九仭、功を一簣に虧く」とある。

[田所義行]

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