細君(読み)サイクン

デジタル大辞泉 「細君」の意味・読み・例文・類語

さい‐くん【細君/妻君】

親しい人に対し、自分の妻をいう語。
同輩以下の人の妻をいう語。「友人の―」「―によろしく」
[補説]「妻」は当て字
[類語]つま家内女房かみさんワイフかかあ山の神さいベターハーフ押し掛け女房姉さん女房世話女房恋女房思い妻糟糠の妻愛妻良妻賢妻悪妻

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精選版 日本国語大辞典 「細君」の意味・読み・例文・類語

さい‐くん【細君・妻君】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「細」は小、小君の意。「妻君」はあて字 )
  2. 他人に対して、自分の妻をいう語。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「此事を妻君(サイクン)にも咄すと、妻君は只呆れるばかり」(出典:暑中休暇(1892)〈巖谷小波〉一)
    2. [その他の文献]〔漢書‐東方朔伝〕
  3. ( 転じて ) 他人の妻をいう語。
    1. [初出の実例]「北里のお茶屋の妻君(サイクン)」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初)

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普及版 字通 「細君」の読み・字形・画数・意味

【細君】さいくん

身分ある人の妻。のち、自分の妻をいう。〔漢書東方朔伝〕上(しやう)笑ひて曰く、先生をして自ら責めしめしに、廼(すなは)ち反りて自ら譽(ほ)むと。復(ま)た酒一石・百斤を賜ひ、歸りて細君にらしむ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「細君」の意味・わかりやすい解説

細君(中国、前漢)
さいくん

生没年不詳。中国前漢武帝(在位前141~前87)のとき、匈奴(きょうど)対策のために、天山山脈北方から甘粛(かんしゅく)省西部にかけて勢力を張っていた烏孫(うそん)の昆莫(こんばく)(王)のもとに、武帝の皇女として嫁いだ江都王劉建(りゅうけん)の娘。嫁してのち、王は老齢で言語も通ぜず、悲しんで「われを嫁す天の一方……願わくば黄鵠(こうこく)(大きな鳥)となりて故郷に帰らん」と歌ったという(『漢書』「西域伝」)。のち王の孫と再婚し一女を産んだが、降嫁して4、5年で他界したと伝えられる。

尾形 勇]


細君(妻)
さいくん

他人に対して自分の妻を戯れにへりくだっていう語であるが、今日では、他人の妻にもいう。「細」は小の意で、「妻君」と書くのは当て字。もともとは中国の諸侯の夫人の称で、漢の東方朔(とうぼうさく)が天子からその女房孝行を賞されて、「細君に遣わせ」と酒1石と肉100斤を賜った、と伝える『漢書(かんじょ)』「東方朔伝」の故事が名高いが、この細君の語は当時の婦人にままみられる固有名詞で、東方朔の妻の名であるとする説もある。

[田所義行]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細君」の意味・わかりやすい解説

細君
さいくん
Xi-jun; Hsi-chün

中国,前漢の武帝の元封1 (前 110) 年頃烏孫王昆莫に嫁した宗室の女。遊牧民のテント生活に望郷の念やみがたく,「願わくは黄鵠となって故郷に帰らん」で結ばれる詩を作ったと『漢書』西域伝に伝えられる。

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