思春期・若年成人(おおむね15~29歳。15~39歳と定義されることもある)をさす。とくにがん医療において用いられる語。AYAはadolescent and young adultの略である。
AYA世代は小児から成人への移行期にあたり、小児(15歳未満)に多く発生するがんと、成人に多く発生するがんのいずれも発生しうるが、患者数はきわめて少なく(国立がん研究センターによると、2012年(平成24)の15~39歳のがん罹患(りかん)者数は全国で約2万人、全体の2.49%にとどまる)、この世代のがん診療の専門家も限られており、最適かつ効果の高い治療法が十分に確立していないなど、ほかの世代のがんとは異なる特徴をもつ。成長・発達段階で発症するがんであり、身体的な影響(がんそのものに加え、治療に伴う生殖機能への影響、二次がんなどの晩期合併症など)、社会的な影響(通勤や通学、就職、家族との関係、結婚や出産、経済的な負担など)をはじめとしてさまざまな課題を抱えており、多様なニーズに包括的・継続的に対応するための体制の構築やさらなる充実が求められている。
日本においては、2015年に全国に先駆けて静岡県立静岡がんセンターに「AYA世代病棟」が設置されるなど、この世代のがんへの支援体制が少しずつ拡充されている。AYA世代は、進学・就職・結婚・出産など複数のライフイベントを迎える時期でもあり、それらに関する情報提供・相談体制の整備はいまだ十分ではないため、がん対策基本法に基づいて策定される「がん対策推進基本計画(第3期)」では、小児がん、高齢者のがんと並び、AYA世代のがん対策が重要な施策の一つとして位置づけられている。
[渡邊清高 2017年11月17日]
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